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「夫がワクチンを強要する。離婚したい」コロナのワクハラ相談、弁護士からも 日弁連
会見の様子(2021年11月17日、弁護士ドットコム)

「夫がワクチンを強要する。離婚したい」コロナのワクハラ相談、弁護士からも 日弁連

「ワクチン接種しないなら、退職してもらう」「ワクチンを打たないなら、家から出て行け」。新型コロナウイルスのワクチン接種をめぐり、職場や家庭でハラスメント(ワクハラ)に悩む人たちがいる。

日本弁護士連合会(日弁連)が11月17日、公表した「新型コロナウイルス・ワクチン予防接種に係る人権・差別問題ホットライン」(10月実施)に寄せられた93件の相談から、ワクチンをめぐる分断が浮き彫りになった。。

●接種をしなかった看護師は退職を命じられた

日弁連が、ホットライン(10月1日、2日)でコロナワクチン接種に関する相談を募ったところ、93件が届いた。

前回(5月)は、医療関係者など優先接種の対象となった人からの相談が目立ち、件数は208件と上回っていたものの、今回は会社員や主婦など幅広い属性から相談があったという。

ワクチン接種を事実上強要されることで、退職せざるを得ないという不利益取り扱いが実際に生じている。また、職場や地域で接種の有無を回答させられ、困っているという相談もあった。

●不利益取り扱いや差別への不安

相談の具体的な中身をみていく。(日弁連の公表資料をもとに、文章は編集したうえで紹介しています)

(1)医療関係者

・「ワクチン接種しないなら、医療法人の方針で退職してもらう」と言われ、退職した。同様の理由で退職した看護師が他にもいる(看護師)

・副反応の既往があるため、接種を様子見したいと病院に告げたところ、接種していない人は8月の賞与が減額された。9月になると、未接種者は退職勧奨をうけたため、やむなく退職した(看護師)

(2)会社員

・クライアントから職域接種を受けていない人のリストを求められ、接種していないと毎週PCR検査を受けなければならない(会社員)

(3)弁護士・法律事務所職員

・勤務先の法律事務所内で接種有無のアンケートがあったため、「様子見」と答えると、「長期案件は任せられないかもしれない」と言われた。法律事務所から「業務委託」されているという立場はつらい(弁護士)

・法律事務所内で衛生管理目的として接種調査のメールが送られてきており、調査自体に圧力を感じている(弁護士)

・弁護士1人の法律事務所に勤務しているが、雇用主(弁護士)からワクチン接種を強要されている。過去にじんましんが出たこともあり、体質に自信がなく「当面受ける気はない」と伝えたところ、「勤務態勢を考えます」と言われた。現時点で不利益な対応はされていないが、不安である(法律事務所職員)

(4)専業主婦

・夫が接種を強要するが、「リスクがあるから打ちたくない」と言うと、夫から「出て行け」と言われた。ワクチンハラスメントをする夫と離婚したい(専業主婦)

・友人も接種後に死亡し、自身も体調が心配なことから、接種していない私に、夫がつらくあたるため、離婚したいと思っているが、離婚できるのか(無職)

●12月に予定されているホットライン(コロナの生活相談、生活保護相談)

今回の結果をうけて、日弁連の川上詩朗弁護士は、接種しないことで解雇など具体的な不利益取り扱いが生じており、5月よりも問題が深刻化していると指摘した。

日弁連では、12月2日に「第2回 全国一斉 新型コロナウイルス感染症 生活相談ホットライン」を実施する。コロナに関係するどんな生活相談でも受け付ける。

さらに、12月9日には「全国一斉 生活保護ホットライン」も実施。申請を受け付けてもらえなかったなど、生活保護に関する相談に弁護士が答える。

●連絡先

【第2回 全国一斉 新型コロナウイルス感染症 生活相談ホットライン】

フリーダイヤル:0120(254)994

12月2日(木)午前10時〜午後8時

【全国一斉 生活保護ホットライン】

フリーダイヤル:0120(158)794 (一部地域で別日時・別番号)

12月9日(木)午前10時〜午後10時

●詳しくはこちら

日弁連は記者会見の詳しい内容を公表している。

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