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いまなら駆け込みで間に合う「ふるさと納税」 どんな仕組みになっているの?
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いまなら駆け込みで間に合う「ふるさと納税」 どんな仕組みになっているの?

2015年も残すところわずか。個人の課税期間も12月末が節目ということで「ふるさと納税」に注目している人もいるだろう。いまの時期は、鍋料理の季節と重なることもあって、肉や海産物などの特産品をプレゼントしてくれる自治体に関心が集まっている。

ふるさと納税の情報を集めたポータルサイトでは、カニエビ特集やうなぎ特集など、特産品の種類ごとにまとめたページが設けられている。自治体への送金がクレジットカードで決済できるところも多く、ネット通販をするような感覚で「ふるさと納税」ができるようになっている。

ふるさと納税とは、そもそもどんな制度なのだろうか。今年から手続が簡易になり、利用しやすくなったということだが、どのように変わったのか。佐原三枝子税理士に聞いた。

●「寄付」の一種だが「税金控除」のメリットがある

「ふるさと納税という言葉から『自分の故郷で税金を納める制度』と勘違いしている方もいるでしょう。でも、実際には、自治体への寄付金です。しかも寄付する自治体は、自分の故郷以外からも自由に選ぶことができます」

このように佐原税理士は説明する。応援したい自治体への「寄付」というのが正確なようだが、なぜ「ふるさと納税」という呼び方がされているのだろうか。

「『納税』という言葉が使われるのは、自治体への寄付金の額に応じて、税金が控除されて安くなるからです。また当初は、地方出身で東京などに暮らしている人が故郷の自治体に寄付することを典型的なケースとして想定していたため、『ふるさと納税』と呼ばれるようになりました」

税金の控除は、どのような仕組みになっているのだろうか。

「控除については、2000円を超えた金額の部分が、一定の上限まで全額、税金から控除されます。たとえば、扶養家族やローン控除等なにも控除がない年収300万のサラリーマンの方ならば、2万8000円の寄付をすると、2万6000円の減税を受けられます」

●今年から始まった「簡易な手続」とは?

税金の控除を受けるための手続きは、どうなっているのか。複雑なのではないか。

「昨年までは、ふるさと納税の減税措置を受けるために確定申告が必要でした。しかし今年4月から、5つの自治体への寄付までは、確定申告をしないで、ふるさと納税ができるようになりました」

ただ、確定申告なしで「ふるさと納税」をするためには、大きくいって、3つの条件をクリアする必要があるという。

「まず、(1)2015年4月1日以降にした寄付であることが必要です。これから『ふるさと納税』をしようと思っている方は、問題ありません。

今年に入って3月末までに、すでに『ふるさと納税』制度を利用したという方は、その寄付を無効にして、4月以降の寄付について申告不要制度を使う。もしくは、今年のすべての寄付を有効にするために確定申告をする。このいずれかを選ばなければなりません。

次に、(2)当たり前のようですが、『申告不要制度』は確定申告をしないことが前提です。サラリーマンの方でも、医療費控除などのために確定申告をする人もいるでしょう。そうした方は、申告不要制度は使えません。

そして、(3)6団体以上に寄付をすると、確定申告が必要になります。申告不要制度で済ませるためには、寄付先を年間5団体以下にしましょう」

●寄付した自治体に「特例申請書」を出す必要がある

これらの条件を満たせば、何もしなくてもお金が戻ってくるのだろうか。

「申告不要とはいえ、何もしなくていいわけではありません。寄付した人は、寄付した自治体それぞれに『特例申請書』を提出する必要があります。

ただ、住所・氏名・生年月日や寄付日・寄付金額を記入して、さきほど挙げた3つの要件を満たしていることにチェックを入れるだけなので、確定申告に比べれば、はるかに簡単です。

申請書類をホームページにアップしている自治体もあります。ふるさと納税をした人から申請書が提出されると、寄付を受けた自治体が寄付者の住所地の自治体に情報を通知することで、住民税の計算がされます」

ほかにも、今年から変わった点があるようだが・・・

「今年1月1日からは、ふるさと納税の減税上限額が約2倍になりました。申告不要制度に加えて、控除の上限額が引き上げられたことで、ふるさと納税への注目度がさらに高まっているのではないでしょうか」

個人の税金が計算される期間は、1月1日から12月31日まで。年内に駆け込みで「ふるさと納税」の利用を考えている人は、佐原税理士のアドバイスを頭に置きながら、ふるさと納税の情報サイトをチェックしてみるといいだろう。

【取材協力税理士】

佐原 三枝子(さはら・みえこ)税理士・M&Aシニアスペシャリスト

兵庫県宝塚市で開業しています。工学部、メーカー研究所勤務から会計の世界へ転向した異色の経歴です。「中小企業の成長を一貫してサポートする」ことを事務所理念とし、税務にとどまらず、経営改善支援、事業承継や海外事業展開を手掛けています。

事務所名 : 佐原税理士事務所

事務所URL:http://www.office-sahara1.jp/

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