昨年末に解散した国民的アイドルグループ「SMAP」のデビュー25周年記念ベストアルバム『SMAP 25 YEARS』(ビクターエンタテインメント)が売れに売れている。解散直前の昨年12月21日に発売されてから、今年1月10日までの約3週間で、売上枚数が100万枚を超えた。
このアルバムは、過去のシングル、アルバムなどに収録された400曲以上の候補から、ファン投票で選ばれた50曲が収録されている。投票1位の『STAY』のほか、『世界に一つだけの花』『夜空ノムコウ』など、ミリオンヒットした曲も入っている。
惜しまれながらも解散したSMAPは、ファンの間でメンバーの「不仲説」も流れた。もし仮に、元メンバーが今後、CDの販売停止を求めたら、法的にどうなるのだろうか。また、レコード会社はグループ解散後も新しい「ベストアルバム」を発売し続けることができるのか。エンターテインメントの法律にくわしい佐藤大和弁護士に聞いた。
●元メンバーが「販売停止」を求めても基本的に難しい
「アーティストは通常、直接または所属するプロダクションを通して、レコード会社とCDを作り、販売するための契約をします。
その契約で一般的に、アーティスト側は、レコード会社側に対して、歌唱などの実演やジャケットの肖像などCDに関わる権利を譲渡しています。
そのため、たとえばSMAPのようにグループが解散しても、レコード会社がCDに関する権利をすべて有している場合、レコード会社はグループ解散後も、自由にCDを販売したり、配信したりすることができます」
レコード会社側が、CDに関するすべての権利を有する背景はなんだろうか。
「一般的に、レコード会社側がCDを作る際の費用を負担しているという背景があります。
単にCDを作るといっても、スタジオ代からジャケット作成費まで、かなりの費用が発生します。アーティストのレベルにもよりますが、その費用が1000万円を越えることもあります。
そのため、レコード会社側としては『こっちが費用負担しているんだから、CDに関する権利を持っていても良いよね』となるのです。レコード会社側が、CDに関する権利を持っている以上は、元メンバーが『販売停止』を求めても、基本的に難しいといえますね」
グループ解散後、レコード会社が新たに「ベストアルバム」などを発売することはできるのか。
「たとえグループが解散しても、レコード会社が、CDに関する権利を有している場合には、ベストアルバムを作ることはできます。
もっとも、CDの音源を勝手に改変したり、ほかのレコード会社から発売されたCDを勝手に使ったりすることができません。そのため、自社から発売した音源をそのまま組み合わせて、ベストアルバムを作ることになりますね」