「殺すぞ、ナイフで刺すぞ、街を歩けなくさせるぞ」
救急活動中の救急隊員に対する暴力や暴言、救急車の破損などの妨害行為が相次いでいるとして、東京消防庁は6月16日、都民に理解と協力を呼びかけた。
2026年は5月末時点ですでに15件発生しており、前年同期を上回るペースだという。東京消防庁は同日、公式Xでも再現動画を投稿している。
【救急隊員に対する暴行】
— 東京消防庁 (@Tokyo_Fire_D) June 16, 2026
現場での処置中、複数の救急隊員が傷病者から暴行を受け、怪我を負う事件が発生しました。
暴行を加えた者は、臨場した警察により逮捕されています。
このような行為について、当庁は法的措置も辞さず、毅然と対応してまいります。#東京消防庁 pic.twitter.com/Xg5sXeR1vV
●5年間で107件、年々増加している
東京消防庁によると、救急隊への妨害行為には、隊員への暴力や暴言のほか、救急車や資器材の破損などが含まれる。
2021年から2025年までの5年間で発生した妨害行為は107件。内訳は、人身被害が45件、物損が46件、その他が16件だった。
件数は年々増加しており、2026年も5月末時点で15件(人身7件、物損4件、その他4件)が確認されている。
●傷病者から突然暴行、救急隊員が負傷した
東京消防庁は、今年5月に発生した事例も公表した。
屋外で倒れていた傷病者を救急隊員が観察していたところ、傷病者が突如激高した。
救急隊員を執拗に追いかけ、「殺すぞ、ナイフで刺すぞ、街を歩けなくさせるぞ」などと脅迫したうえ、十数回にわたって殴る、蹴るなどの暴行を加えたという。
隊員は顔から出血するケガを負い、着用していた眼鏡も破損。制止に入った別の隊員も足を蹴られて負傷した。2人は別の救急隊によって病院へ搬送されたという。
この影響で、当該救急隊は約5時間にわたって出場不能となった。さらに、追加で救急隊2隊、消防隊2隊、警察官が対応にあたる事態となった。加害者は現行犯逮捕されたという。
また別の事例では、屋内で傷病者を観察中だった救急隊員があごを殴られ、救急隊が約2時間出場できなくなったケースもあった。
●「聴診器を噛みちぎられた」ケースも
過去には、傷病者本人から顔面を殴られたり、噛みつかれたり、頭突きをされたりした事例があった。
また、救急車を蹴られる、救急隊の携帯電話を壊される、聴診器を噛みちぎられる、感染防止衣を破かれるといった物損被害も確認されている。
●搬送遅れで命に影響も
東京消防庁は、こうした妨害行為によって救急車の到着や医療機関への搬送が遅れ、傷病者の治療開始が遅れる可能性があると指摘する。
さらに、妨害を受けた救急隊が出場できなくなり、別の救急隊が対応を余儀なくされるほか、隊員が身体的・精神的な苦痛を受けることで業務に支障が生じるおそれもあるという。
東京消防庁は「限りある救急隊が迅速に現場へ向かうことができるよう、救急隊の活動にご理解とご協力をお願いいたします」と呼びかけるとともに「救急活動への妨害行為について、法的措置も辞さず、毅然と対応してまいります」としている。