離婚してからも同居を続ける。芸能界では、こうした「離婚後同居」を選ぶ元夫婦が増えています。
モデルの鈴木えみさんもその1人です。10月25日、インスタグラムで「昨年末に離婚が成立し、約1年が経ちました」とつづり、「元夫とは離婚後もしばらく同居を続けていましたが、その生活にも一区切りがつき別々に暮らし始めた」と明かしています。
タレントの吉岡美穂さんも、今年1月に離婚を公表したIZAMさんと今も同じ家で暮らしていることを、インタビュー(AERA DIGITAL)で語りました。子どもからは「離婚した後のほうがパパとママ、仲いいよね」と言われたそうです。
また、俳優の加藤ローサさんも2025年8月、元サッカー日本代表の松井大輔さんとの離婚を公表した際、籍を抜いたあとも一緒に生活を続けていると明かし、大きな反響を得ました。
離婚後の同居には、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。濵門俊也弁護士の監修のもと、解説します。
●離婚すれば「夫婦の義務」はなくなる
法律上、離婚届を出せば婚姻関係は終わります。同じ家に住み続けても、それは当事者の合意による「同居」にすぎず、ルームシェアをしている友人同士と変わらない扱いになります。
法律上の「夫婦」には、同居し、互いに協力し扶助する義務(民法752条)や、婚姻から生じる費用(生活費)を分担する義務(民法760条)があります。しかし、これらの規定は離婚すればなくなります。
親子の関係は離婚しても変わりません。扶養する義務(民法877条)や、養育費を分担する義務(民法766条)は残ります。
●メリットは「子どもの環境を変えない」こと
離婚後同居の最大のメリットは、子どもの生活環境を大きく変えずに済むことでしょう。
転校や引っ越しを避けられ、父母の両方と顔を合わせられます。家事や育児を分担しやすく、住居費などの生活コストを抑えられるのも魅力です。
●生活費や家事のルールが「決まっていない」
離婚すると、生活費を分担する法的な義務はなくなります。家賃や光熱費、食費、家事をどう分担するかを決めておかないと、トラブルのもとになりかねません。
同居を続けるなら、生活費の負担割合や家事の分担、子どもの養育費について、あらかじめ話し合い、法的な拘束力のある書面に残しておくことが望ましいでしょう。
●「事実婚」とみなされるおそれ
離婚していても、実態として夫婦と同じような共同生活を送っていれば、「事実婚(内縁)」と評価される可能性があります。
社会通念上の婚姻の意思があるか、事実上の夫婦共同生活があるかによって判断されます。
事実婚と認められると、法律婚に近い権利や義務が生じます。たとえば、このようなものです。
・生活費を分担する義務
・関係を解消するときの財産分与
・日常の家事で生じた債務についての連帯責任
・不貞行為があった場合の慰謝料
つまり、「離婚したのだから自由」と考えて新しい恋人をつくったところ、元配偶者から不貞行為だとして慰謝料を請求される、ということも起こりえます。
●関係が悪化すれば子どもにも影響
父母が同じ家にいることで、子どもが安心できる面がある一方、元夫婦の関係がこじれれば、その空気は子どもにも伝わります。
離婚の原因となった対立が同居によって続いてしまえば、かえって子どもの負担になりかねません。
鈴木えみさんのように、子どもの生活が落ち着いたタイミングなどで同居に「一区切り」をつける選択もあります。いつまで同居を続けるのか、どうなったら別々に暮らすのかも、話し合っておくとよいでしょう。