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「同じ家に住めない」 性犯罪被害者の「転居費用」助成、「自宅とその近く」に限定された条件撤廃…東京都
東京都庁(ぽせ〜どん / PIXTA)

「同じ家に住めない」 性犯罪被害者の「転居費用」助成、「自宅とその近く」に限定された条件撤廃…東京都

犯罪被害に遭った人が自宅に住み続けることが難しくなった場合、東京都は最大20万円まで転居費用を助成している。助成を受けるには、被害現場が、自宅やその付近に限られていたが、今年10月に制度が改正されて、性犯罪被害の場合、その要件が撤廃されることになった。

都によると、転居費用の助成は2020年度から始まっていたが、自宅以外で性被害に遭った際に身分証などを盗まれたことで、加害者に住所を知られて不安だといった声が寄せられたという。

都の担当者は「今回の改正によって、精神的不安を少しでも取り除くためにも、必要な方に転居いただくような環境整備につなげたい」と話している。

⚫️性犯罪、引越し余儀なくされるケースは他の倍以上

助成の対象となる性犯罪被害は、都内で発生した不同意わいせつ罪や不同意性交罪、監護者わいせつ及び監護者性交等罪など。また、助成を受けるには、警察に被害届が受理される必要がある。

これまでは「自宅・その付近」の被害のみ対象とされていたが、10月1日からの制度改正後には、上記の性犯罪被害においては被害場所を問われない。

今回の改正について、東京都の人権施策推進課は主に3つの理由をあげる。

1つは、2020年から2023年にかけて、都内の性犯罪認知件数がおよそ1.5倍と増大していること。

「刑法改正の影響もありますが、778件から1164件に増えています」(同課の担当者)

2つ目の理由としてあげられたのは、性犯罪の被害者が、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症したり、引越しを余儀なくされるケースは、その他の犯罪より多く見られることだ。

都が犯罪被害者に聞いた2019年度の調査によると、性犯罪の被害者の57.2%が、被害によって生じた生活上の変化として、転居をあげたという。その他の犯罪の被害者の回答は25%であり、倍以上となっている。

3つ目は、性犯罪は自宅やその付近に限らず発生しているのが理由だ。

「ご自宅以外の場所で被害を受けた場合でも、身分証明書を盗まれてしまって、自宅に押しかけられるのではないかという恐怖感をお持ちの方もいます。転居費用の助成制度を運営する中で、自宅以外でも対象にしてほしいという相談が寄せられていました」

転居費用申請の受理状況は、2023年度は37件。それ以前も年間で同程度が受理されてきたという。

●被害届が受理されることが必須となっている

なお、助成を受けるためには、先述のように警察に被害届を提出し、受理されることが必須となる。

「なかなか警察に被害を届けることができない被害者もいらっしゃいます。24時間365日体制で電話相談を受け付けている東京都の性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センターなどに相談してください。警察の付き添い支援などもおこなっております」

人権対策推進課が把握する限り、同様の転居費用助成は、およそ10都道府県で実施されているという。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

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