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神戸山口組が「指定暴力団」に・・・暴対法の規制や対立抗争への影響は?
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神戸山口組が「指定暴力団」に・・・暴対法の規制や対立抗争への影響は?

日本最大の指定暴力団、山口組(本部:神戸市)から分裂してできた神戸山口組(本部:淡路市)について、兵庫県公安委員会は4月15日、暴力団対策法の規制対象となる「指定暴力団」に指定した。

報道によると、神戸山口組の構成員・準構成員は約6000人で、全国22団体目の指定暴力団となる。約1万4000人の構成員・準構成員を有する山口組との対立抗争がかねてより懸念されており、全国の警察が警戒を強めている。

今回、神戸山口組が指定暴力団に指定されたことで、どんな規制がかかるのだろうか。また、今後、どのような影響があるのだろうか。暴力団問題に取り組む伊田真広弁護士に聞いた。

●指定暴力団は「不当な行為」が禁止される

「指定暴力団に指定されると、必ずしも明らかな犯罪行為にあたらない指定暴力団員の不当な行為について、公安委員会が『中止命令』という行政処分を下すことができるようになります。

規制の対象は、みかじめ料や用心棒料などを要求する行為や、因縁をつけて金品を要求する行為など、類型化した27の行為に限られます。ですが、中止命令が出されたにもかかわらず、暴力団員が無視して行為を続ければ、暴力団員に対して刑事罰を下すことができます」

伊田弁護士はこのように述べる。

「また、指定暴力団の組長に対する民事上の損害賠償請求が認められやすくなります。さらに、指定暴力団同士が対立抗争を起こした場合、一定の要件を満たせば、その暴力団事務所の使用制限を命じることもできるようになります」

●対立抗争への影響は?

神戸山口組が指定暴力団となったことで、どんな影響があるのだろうか。

「神戸山口組としても、指定暴力団に指定されることは、当然のことと考えているでしょう。

むしろ、神戸山口組と山口組の双方が気にしているのは、単なる指定暴力団ではなく『特定抗争指定暴力団』への指定だと思います。

これは、指定暴力団が『抗争状態にある』と認定された場合に、特別に指定されるもので、法改正により、新設された比較的新しい制度です。

この指定がされると、定められた警戒区域内で対立暴力団組員につきまとったり、対立暴力団事務所付近をうろついたり、同じ暴力団の組員が5人以上集まるといった行為をしただけで、警察は即逮捕することができるようになります。

『特定抗争指定暴力団』に指定されると、暴力団にとっては大変厳しい状態になります。おそらく、今後、この指定だけはされないように、神戸山口組も山口組も行動していくと思います」

懸念されている「抗争」は避けられる効果があるのだろうか。

「神戸山口組と山口組が『特定抗争指定暴力団』に指定されるのを避けるために、『抗争は抑えられる』という見方もできます。

しかし、一度火がついてしまえば、抗争が継続・拡大する可能性も否定できません。両暴力団が同居する地域では、十分注意する必要があると思います」

伊田弁護士はこのように警鐘を鳴らしていた。

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

伊田 真広
伊田 真広(いだ まさひろ)弁護士 アスカ法律事務所
鹿児島県出身。大阪弁護士会所属。賃貸借関係のトラブルを中心に、企業法務、労働、離婚、交通事故等、一般民事を幅広く取り扱っている。

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