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3Dプリンター製のナイフなら「保安検査を突破できる?」YouTuberの検証動画が波紋…犯罪になる?
保安検査場の前にある「放棄品箱」(ayu / PIXTA)

3Dプリンター製のナイフなら「保安検査を突破できる?」YouTuberの検証動画が波紋…犯罪になる?

3Dプリンターで作ったカード型ナイフなら、空港の保安検査をすり抜けて飛行機内に持ち込めるのでは──。そんなことを検証したとする動画がYouTubeで公開され、波紋を広げている。

動画を投稿したのは、チャンネル登録者数12万人超のYouTuber。3Dプリンターでプラスチック製の「カード型ナイフ」を作り、飛行機内に持ち込んだとする内容だ。

ただし、実際にナイフを機内に持ち込んだかどうかは、動画だけでは判断できない。

では、仮に3Dプリンターで作ったナイフを機内に持ち込んだ場合、どのような罪に問われる可能性があるのか。

また、実際には持ち込んでいないにもかかわらず、保安検査を突破したかのような動画を投稿した場合も、罪に問われるのだろうか。今井俊裕弁護士に聞いた。

●プラスチック製でも「凶器」に該当する可能性

──3Dプリンターで作ったカード型ナイフを飛行機内に持ち込んだ場合、どんな罪に問われる可能性がありますか。

航空法では、人に危害を加えたり、物を損傷したりするおそれのあるものとして、省令で定められた物品を航空機内に持ち込むことを禁止しています。

省令では、持ち込みが禁止される凶器として「刀剣その他人を殺傷するに足りる物件」が挙げられています。

──では、3Dプリンターで製作したカード型ナイフが、これにあたるのでしょうか。

法律で規制される凶器は、必ずしも鋼で製造されたものに限られません。材質や硬さ、形状、殺傷能力などによって、個別に判断されることになります。

たとえば、カーボンを混ぜた樹脂や強化セラミックなどを使用し、刃先を鋭利に加工した場合、人を殺傷できる可能性があると考えられます。

そのため、プラスチック製であっても、航空法が規制する「凶器」に該当すると判断される可能性があります。

該当する場合は、2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が科される可能性があります。

●銃刀法違反に該当する可能性も

──航空法以外にも罪に問われる可能性はありますか。

銃刀法では、業務その他正当な理由なく、刃体の長さが原則6センチを超える刃物を携帯することを禁止しています。

折りたたみナイフなどについては、利便性なども考慮して、刃体の長さが8センチ以下で、一定の要件を満たせば携帯が認められる例外もあります。

しかし、今回拡散している動画に登場するようなカード型ナイフは、その例外には該当しないと考えられます。

もし銃刀法で規制される刃物に該当すれば、2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が科される可能性があります。

また、刃体の長さが6センチ以下であっても、正当な理由なく刃物を隠して携帯していた場合には、軽犯罪法違反として拘留または科料に処せられる可能性があります。

●動画が虚偽でも「偽計業務妨害罪」のおそれ

──実際にはナイフを持ち込んでいなかったとしても、保安検査を通過して機内に持ち込めたかのような動画を投稿した場合、法的な問題はありますか。

実際には持ち込んでいないにもかかわらず、「空港の保安検査は甘く、ナイフのようなものでも簡単にチェックをくぐりぬけることができる」と誤解させるような動画を投稿した場合、偽計業務妨害罪の成立が問題になる可能性があります。

たとえば、投稿を受けて、空港や保安検査の関係者が、動画の真偽を調べたり、当時の記録を確認したり、保安基準を見直したりするなど、通常とは異なる対応を余儀なくされた場合です。

ただ、動画が虚偽だったというだけで、直ちに偽計業務妨害罪が成立するわけではありません。動画の内容や投稿の経緯、実際の業務への影響など、具体的な事情によって判断されることになります。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

プロフィール

今井 俊裕
今井 俊裕(いまい としひろ)弁護士 今井法律事務所
1999年弁護士登録。労働(使用者側)、会社法、不動産関連事件の取扱い多数。具体的かつ戦略的な方針提示がモットー。行政における、開発審査会の委員、感染症診査協議会の委員を歴任。

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