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「自分好みの髪の毛だった」 夜行バスで女性の髪を勝手に切った男性…どんな罪?
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「自分好みの髪の毛だった」 夜行バスで女性の髪を勝手に切った男性…どんな罪?

夜行バスの車内で、眠っていた女性客の髪を無断で切ったとして、会社員の20代男性が9月上旬、暴行の疑いで滋賀県警に逮捕された。

報道によると、男性は、9月8日午後11時から9日午前4時ごろにかけて、福岡市から名古屋市まで走行していた夜行バスの車内で、前の席で眠っていた女性客の髪を20センチほど、3回にわけてハサミで切った疑いが持たれている。

警察の取り調べに対して、男性は「自分好みの髪の毛だった」と話しているということだ。今回のケースのように、他人の髪を切ったら、どんな罪に問われるのか。村木亨輔弁護士に聞いた。

●傷害罪が適用されたケースも

「考えられるのは、今回の逮捕容疑である暴行罪と、傷害罪です。

暴行罪の法定刑は『2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料』です。傷害罪は『15年以下の懲役または50万円以下の罰金』です。

つまり、傷害罪のほうが重い罪となっています」

適用される場面は、どのように違うのだろうか。

「暴行とは、『人の身体に対する不法な有形力の行使』とされています。また、傷害とは、『身体の生理機能の障害』または『健康状態の不良な変更』とされています。

今回のケースとよく似た裁判例として、女性の髪の毛を根本から切除した事件で、傷害罪の成立を認めた判決があります。

たとえば、失神させる、性病に感染させる、ノイローゼにさせる――などのように、外傷を負わせた場合でなくても、傷害と評価されることがあるのです。

一方で、カミソリで根本から切り取った事件で、暴行罪の成立に留めた判決もあります」

今回のケースをどう考えるか。

「男性が『自分好みの髪の毛だった』ことを理由に、夜行バスの車内で眠っていた女性客の髪を無断で切ったとのことですが、暴行もしくは傷害の責任を問われると思われます。いずれの罪で処罰を受けるとしても、男性としては、自身の行動について猛省する必要があるといえるでしょう」

プロフィール

村木 亨輔
村木 亨輔(むらき きょうすけ)弁護士 虎ノ門法律経済事務所 神戸支店
虎ノ門法律経済事務所神戸支店の支店長弁護士。東京本店を中心に、全国に31の支店があり、今後も各地に拡大する予定。本店支店間が相互に連携を取ることにより、充実したリーガルサービスの提供を可能とする。

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