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一攫千金夢見て、FXで多額の借金…「自己破産できない」は本当? 免責が認められる条件とは
写真はイメージです(bee / PIXTA)

一攫千金夢見て、FXで多額の借金…「自己破産できない」は本当? 免責が認められる条件とは

なかなか所得が上がらない中、少しでも投資で資産を増やそうとする人が増えています。その一つがFX。FXは、担保となる証拠金が少額でも自己資金の最大25倍相当の投資ができますが、ハイリスクであることも確かです。一瞬にして資産を失う危険もあります。

Xでは「FXはギャンブルだから自己破産できない」といった投稿もみられます。FXによって借金を背負った人たちは自己破産や債務整理することは可能なのでしょうか。消費者問題に詳しい西塚直之弁護士に聞きました。

●FXによる借金、自己破産できる?

弁護士ドットコムには、FXで負債を抱えてしまった人たちからの相談が寄せられています。

ある男性はFXで失敗し、500万円近くの負債があるそうです。会社員として働いていますが、毎月の返済が苦しく、自己破産をしたいと考えているそうです。

また、妻子のある別の男性は、FXによる借金が330万円あるといいます。5社から借りており、妻には話していないそうです。

福祉関係の仕事をしている別の男性は、FXで負けてしまい、クレジットカードのキャッシング枠で210万円使っている他、消費者金融でも100万円のキャッシングをしているそうです。

FXによる借金は、自己破産できないのでしょうか。西塚弁護士はこう説明します。

「一般的に、破産をすれば借金の支払いが免除されると思われていますが、実は不正確で、破産手続開始決定に加えて裁判所から免責許可決定を受けて初めて借金の支払いが免除されます。

どのような場合に、免責許可決定を受けることができるかというと、破産法252条第1項に定める11個の免責不許可事由に該当していないことが必要です。

FXによる借金は、11個の免責不許可事由のうち、『浪費又は賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと』(破産法252条第1項第4号)に該当しますので、免責不許可事由に当たります。

そうすると、形式的には免責されず、FXによる借金は破産をしても支払義務が残ってしまうようにも思えます。しかし、破産法に定める免責不許可事由に該当しても、裁判所がその裁量で免責を許可することがあります」

●破産できるケースもあるが…

では、どのような場合に破産は可能なのでしょうか。西塚弁護士によると、「様々な事情を総合的に考慮するので一言でいうのは難しい」とのことですが、次のようなケースだといいます。

「たとえば、借金をしたあるいは借金が膨らんだ経緯、破産申し立てに至った経緯、FXをした期間やFXで使った金額、破産するほどまでに借金をしてしまったことに対して真摯な反省をしているかどうか、生活再建に向けて具体的な努力をしているかどうか、などを考慮し、裁判所がこの人は免責してあげるべきだと考えた場合、裁判所は免責許可を出します。

FXによる借金でも、破産して免責許可を受けられる場合があるので、まずは弁護士に相談することを強くお勧めします。

なお、免責許可決定が確定した日から7年以内に破産の手続きを取ることは免責不許可事由です。『2度目の破産は難しい』と言われているゆえんです。

免責は破産した人の生活再建のためですので、2度目の破産が無いように、FXなどには手を出さず、堅実な生活を送っていただきたいと思います」

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

プロフィール

西塚 直之
西塚 直之(にしづか なおゆき)弁護士 西塚法律事務所
消費者事件を含む民事事件、家事事件、刑事事件、中小企業法務まで幅広く取り扱うほか、消費者教育にも力を入れている。令和6年度大阪弁護士会消費者保護委員会副委員長。近畿大学非常勤講師。家事調停官(非常勤裁判官)の経験もある。

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