秋篠宮家の眞子さまとの婚約が延期になっている小室圭さんの母と元婚約者の間での「金銭トラブル」について、文春オンライン(8月25日)が『小室圭さん 11月1日に「借金45万3000円」が消える理由』と報じている。
記事によれば、元婚約者は小室さんの母に、2010年から2012年にかけて複数回にわけて金銭を渡しており、最初に渡した金銭が今年時効を迎えるという。
この「金銭トラブル」については、小室さん側が2019年1月に「解決済み」とのコメントを出すなどしており、借金なのかどうかは必ずしも明らかでない。
ただ、仮に借金だとすれば、返済を求められないというのは、貸した側としてはこの上ない痛手だ。借金にかかわる時効は、法律上どのような制度になっているのか。
●原則5年で時効消滅
借金の返済を請求する権利(債権)は、下記(1)・(2)のどちらか一方を満たした時点で、時効によって消滅する(民法166条1項)。
(1)権利を行使することができることを知った時から5年間
(2)権利を行使することができる時から10年間
たとえば、1年後に返済する約束で100万円貸した場合、1年後が「権利を行使することができる時」になる。貸した側は通常、1年後に請求できることを知っているし、もし借用書などがあれば客観的にもより明らかといえる。
個人間での貸し借りなどでは、よほどの事情がない限り(1)に該当し、返済日から5年で時効となると考えておいてよいだろう。
●時効完成を阻止する方法
もっとも、貸した側にも、時効の完成を阻止する手段はある。それが時効の「完成猶予」と「更新」だ。
時効の「完成猶予」は、一定時点まで時効が完成させないようにするものだ。たとえば借金返済を求めるなど催告すれば、6カ月先延ばしになる。このほか、訴訟を提起したり、権利(借金)について協議する旨を書面などで合意をした場合にも時効完成が猶予される。
一方、時効の「更新」は、それまでの時効期間がリセットされ、ゼロから新たな時効が進行する。裁判などで権利が確定した場合が典型だ。なお、貸した側の手段とはいえないが、借りた側から借金の存在を認めた場合や一部返済した場合なども時効の更新にあたる。
●法律の改正にはご注意を
ただし、民法は2020年4月に改正(施行)されており、時効の規定が変わった。たとえば、前述(1)については改正法で新たに設けられた規定だ。
したがって、2020年4月以前に発生した借金などには、原則として改正前の民法が適用されることに注意が必要だ。前述の文春オンラインで、「時効は10年」と書かれているのもこのためだ。
時効で消滅しているかどうか判断が難しい場合もある。その際には、解決策を含め、弁護士など専門家に相談するといいかもしれない。(監修:宍戸博幸弁護士)