舛本 行広 弁護士
ご依頼後、まず重要となったのは、実際の労働時間をどのように裏付けるかという点でした。残業代請求では、タイムカードや勤怠システムの記録が残っていれば分かりやすいものの、現実には必ずしも十分な記録が会社から開示されるとは限りません。そこで本件では、相談者が保管していた給与明細、シフト表、業務日報、メール送信時刻、メッセージアプリの履歴、その他の業務記録を一つひとつ確認し、勤務実態を時系列で再構成しました。その結果、会社側の処理では労働時間として反映されていない時間が相当程度存在することが見えてきました。また、会社が主張しがちな「固定残業代に含まれている」「管理職だから残業代は出ない」といった反論についても、給与体系や職務内容を詳細に検討したところ、直ちに通るものではない可能性が高いと判断されました。固定残業代制度が有効といえるためには、通常賃金部分と残業代部分が明確に区別されている必要がありますし、管理監督者性についても、肩書だけでは足りず、権限・待遇・勤務実態などから慎重に判断されます。そこで当事務所は、整理した労働時間資料と計算結果をもとに、会社に対して未払残業代を請求しました。請求にあたっては、単に金額を示すだけでなく、どの時間が労働時間に当たるのか、なぜ会社の反論が成り立たないのかを法的に整理して提示しました。会社側は当初、請求額や労働時間の認定方法に争いを示しましたが、資料の積み上げと法的論点の整理を踏まえ、全面的に争うことには相応のリスクがあると判断したものと思われます。最終的には、訴訟に移行する前の交渉段階で、一定額の残業代を一括して支払う内容で合意が成立しました。
未払残業代を請求し、交渉でまとまった金額を回収した事例【労働者側】の
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