問題の真相を見極め、依頼者のために全力を尽くす~人間力を武器に満足のいく解決を
幅広い分野の相談に対応し、広い視野を持ち続ける
ーー弁護士を目指した理由やきっかけを教えてください。
高校生の頃から法律に興味がありました。国会が法を作り、内閣が執行し、裁判所が解釈・適用して紛争を解決する三権分立の仕組みに関わりたいとの思いがありました。
大学では法学部に進み、「学ぶなら徹底的に極めたい」と考え、当時文系最難関と言われた司法試験に挑戦を決意したのですが、合格までに多大な時間がかかり両親には迷惑をかけてしまいました。
合格するまであきらめずに取り組めたのは、法律の持つ「最終性」に魅了されていたからかもしれません。裁判で確定したことは「最終」であり、従わなければ強制執行などもあり得る世界です。法律の厳格さと怖さを感じつつ、その一員に加われることは、大変やりがいのある仕事に感じられました。
勉強をし続ける中で、抽象的にしか書かれていない法律を、それぞれの事案や状況に適用させるためには、「人間力」が必要だと知りました。六法全書には人間の血が通い、人間性が色濃く出ているんだと。そう感じるにつれ、ますます法律が好きになりました。
ーー学生時代はどのように過ごしていましたか。
中高6年間を男子校で過ごし、生涯にわたり付き合うことになる仲間や先輩後輩に出会うことができました。大学では空手部に入部して「押忍(おす)」の精神で4年間を過ごしました。
成績次第で打ち切られる給付制の奨学金をいただいていたので、大学の授業や試験にも真剣に取り組みました。司法試験受験時代に出会った仲間たちもかけがえのない存在で、彼らがいたからこそ、挫けることなく勉強を続けられたのだと思います。
ーー注力分野を教えてください。
取り扱い件数が多いのは、遺産相続や不動産問題です。ほかに離婚や成年後見、刑事事件などの依頼も多くいただいています。
専門分野を持つこともよいのですが、知識や経験が豊富であればあるほど、先入観で判断してしまったり、手持ちの知識に頼りすぎてしまう危険があるのではないかと思っています。
自分の知識や経験だけで判断するのではなく、事案ごとに依頼者が抱えている問題の本質を見極めることが大切です。そうしたことからも、一つの分野に特化するのではなく、幅広い分野の相談に対応し、広い視野を持ち続けることを意識しています。
依頼者の本当の幸せを見据えたバランスのよい解決を
ーー仕事をする上で心がけていることはどんなことですか?
依頼者のために全力を尽くすのは当然のこととして、依頼者が本当に悩んでいることは何か、何を解決すれば幸せになれるのかという観点を常に意識しています。目の前の法的トラブルを解決すればそれで終わり、ではありません。
依頼者の抱えている問題の本質が、必ずしも法律問題とは限りません。相手方との感情のもつれであったり、溜め込んだストレスだったり、依頼者自身も気づいていないようなことが、問題の核になっているケースもあります。
依頼者の悩みはさまざまですので、それらの課題に一つ一つ丁寧に応えるためには、自らの人間性を磨いて、多様な対応力を身につけることが必要だと感じています。
ーー印象に残っている案件を教えてください。
弁護士になったばかりの頃、離婚と相続が絡んだ複雑な家事事件を担当しました。苦労して調停を成立させほっとしていたところに、相手側の当事者から事務所に電話があったんです。「次に何かトラブルが起きたら、先生に相談したい」と。
本当に驚きました。その事件で私は、依頼者の利益を優先させつつも、相手側も納得できる解決ができないかを考えて、調停期日に臨んでいました。相手方はそのことを調停員を通じて聞き、「敵対している自分のことまで考えてくれていたのか」とうれしく思われたそうです。
幸せを感じるポイントは人それぞれです。依頼者の利益を最優先しなければいけないこともありますが、双方にとって円満な解決が望ましいこともあります。この事件では、バランスを見極めながら双方が納得できる決着がベストだと思い行動し、結果として相手方からも評価され、自分の方針に自信を持つことができました。
目の前の事実に向き合い、依頼者が未来に向かう手助けを
ーー休日はどのように過ごしていますか?
自宅では仕事をしないようにし、オンとオフをしっかり切り替えています。趣味にしているのはゴルフです。ゴルフ上達のためにヨガやストレッチを始めたところ、7キロの減量に成功しました。頑固な肩こりまで治っていいこと続きなのですが、肝心のゴルフのスコアは伸びていません(笑)。
囲碁も好きで、NHKの囲碁講座を楽しみにしています。相手より1目多く取ればいいという囲碁の勝ち方は、仕事にも通じる点があるように感じています。完全な勝利・敗北という決着では、勝った方は忘れても、負けた方には恨みが残り、トラブルが再燃することがあります。相手に49取らせ、自分は51取ればよい。囲碁のこの観点は、私の視野を広げてくれました。
特技は姓名判断です。弁護士として仕事するかたわら、姓名鑑定士としても活動しています。大学生の頃に始めたのですが、司法試験に合格していなかったら、新橋や新宿辺りでプロの占い師をやっていたかもしれませんね。
ーー今後の展望をお聞かせください。
目の前にある事実を見極め、依頼者に寄り添いながら、一つひとつの案件に取り組むというこれまでの方針を変えず、今の仕事のクオリティを維持していきたいと思っています。
これまで培ってきた知恵や工夫、さらには失敗も含めて次の世代に伝えていきたいという願望もあります。現在、東京都足立区で人権擁護委員を務め、小・中学生を対象に私の仕事や人生などについて授業をする機会をいただいています。
子どもたちはみんな熱心に聞いてくれて、とても楽しい時間になっています。「つらいことや悲しいことがあっても、前を向いて進む人を神様は決して見捨てないよ」と伝えていきたいです。
ーー最後に、依頼を検討している方にメッセージをお願いします。
法律事務所に相談に来られる方はトラブルを抱え、焦っておられる方がほとんどです。私はそんな依頼者の心を落ち着かせ励ましながら、現実を直視する勇気が持てるよう手助けしたいと考えています。
現実から目をそらしていては、何も変わりません。逃れられない現実をしっかりと受け止め、問題を正面から見据えることで、解決の方向に持って行けることが多いのです。
時間を戻すことはできませんから、トラブルが起こる前に戻そうとしたり、過去にこだわっていたりすると、うまくいきません。いったん過去に区切りを付け、将来に向かってどう生きていくのかを考えること、それが大切だと思います。
いろいろな事件に関わってきましたが、「人間は一人じゃない」と感じる経験をたくさんしてきました。この社会の一員であることに感謝と誇りを持ちつつ、これからも依頼者に向き合っていきたいと思います。