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「出産から復帰後、退職か契約社員への変更を迫られた」マタハラ受けたと女性が提訴
原告の女性が記者会見を行った

「出産から復帰後、退職か契約社員への変更を迫られた」マタハラ受けたと女性が提訴

妊娠・出産を機に正社員から契約社員へと「雇用形態」を変更させられ、その後雇い止めされたとして、東京都在住の女性Aさん(34)が10月22日、勤務していた会社を相手取って、正社員としての地位確認と慰謝料330万円などを求める訴訟を起こした。東京地裁への提訴後、Aさんと代理人の弁護士は、東京・霞ヶ関の厚生労働省記者クラブで会見をおこなった。

Aさんは「子どもを産まず、職場を離れることがなければ仕事を全うしていたと思うと、私はなんてひどい母親なんだろうと自分を責めた。子どもは女性のキャリアにとって邪魔であってはならないはずです」と涙ながらに語った。

●契約社員への切り替えは「自由意志ではなかった」と主張

訴状や記者会見によると、Aさんは2008年、英会話スクールなどを運営する東京都内の会社に正社員として入社し、英語の講師として勤務していた。

2012年7月に妊娠し、出産後、育児休暇を取得した。しかし、育児休暇満了時に子どもの保育園が見つからなかったため、社長に対して休職を申し出たところ、「自主退職か、週3日の契約社員として働くか」とせまられたという。Aさんは「自主退職しないで済むなら」と思い、希望すれば正社員に復帰できることを前提に、契約社員としての就業を承諾したそうだ。

その後、Aさんは、子どもの保育園が見つかったことを機に、社長と面談し、正社員への復帰を求めた。しかし、社長は「現時点での正社員への契約変更は考えていない」と発言。さらに、復帰後に受け持つ予定だった英会話のクラス担任からAさんを外した。

これを受けてAさんは、労働局などに相談し、同社との団体交渉も行ったが、正社員に戻ることはできなかった。そして今年7月、契約社員としての期間満了により、会社から9月1日付けでの雇い止めを告知された。さらに1週間後には、会社から「正社員としての地位は存在しない」とする訴訟を起こされたという。

Aさんが復帰後に契約社員としての就業を選択したことについて、原告代理人の出口かおり弁護士は記者会見で、「Aさんの自由意志ではなかった」という主張を口にした。また、訴状では、Aさんが社長から「マタハラ発言」を複数回にわたり受けたと主張している。

一方、Aさんが勤めていた英会話スクールの運営会社は、弁護士ドットコムニュースの取材に対し、代理人弁護士を通じて次のようなコメントを出した。

「まだ訴状が届いていないので詳細なコメントは差し控えさせていただきますが、当該労働者との間の雇用関係については、司法の判断をあおぐべく、すでに当社の方から訴訟を提起しておりますので、いずれの件につきましても、司法の場において、適切に対処していきたいと考えております」

(弁護士ドットコムニュース)

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