JR新宿駅の近くで行政の許可を得ずにラーメン屋台を開き、道路を不正に使用したとして、警視庁交通捜査課は10月9日、道路交通法違反(無許可道路使用)容疑で、露天商の男性(78)ら男女5人を逮捕したと発表した。
報道によると、男性らには、10月7日夜、新宿駅西口の小田急百貨店前の歩道など3カ所で、ラーメンやおでんの屋台を設置した疑いがもたれている。これまで警察から約60回にわたり警告を受けていたが、無視してほぼ毎晩営業していたそうだ。
屋台は深夜まで営業し、おでんや日本酒なども提供。1台の屋台で1日5~10万円を売り上げていたとみられる。30年あまりにわたって営業していたという。
ネット上では、「なぜ今さら」「路上ライブや居酒屋の客引きなど、取り締まるべきものは他にもいくらでもある」といった声もある。今回の摘発のポイントは何だったのだろうか。本多貞雅弁護士に聞いた。
●ターミナル駅前で「出店」が許可される可能性は低い
「道路交通法では、道路における危険の防止や交通の安全と円滑を図ることなどを目的として、道路において工事をしたり、露店を出店するなどする場合に、管轄の警察署長の許可を受けなければならないと定めています。
路上ライブや車での移動販売などもこれに該当することが多いでしょう。
許可を受けずに道路を使用した場合は、無許可道路使用の罪となり、その場合の法定刑は3月以下の懲役または5万円以下の罰金です」
今回のケースで許可を得ることは難しかったのだろうか。
「一般に、人通りが多い場所ほど、出店行為等によって次々と客が付いて交通の妨害となることが考えられます。
新宿駅のようなターミナル駅前の路上において、ラーメン屋台の出店が許可されることは難しいと思います」
今回逮捕されたポイントは何だったのだろうか。
「無許可道路使用についての実際の取り締まりは、各警察署の方針によります。
過去には、屋台店に対し、30分を超えて継続的に道路の一定場所にとどまっていた場合に取り締まる方針をとっていた警察署もあったようです。
今回の事件は、約60回にわたって警告を受けていたにもかかわらずこれを無視していたことから、悪質と判断され、逮捕に至ったのだと思われます」
本多弁護士はこのように指摘していた。