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生活保護の減額「国から死ねと言われている」、6000世帯超が不服申し立て   
写真はイメージです(EKAKI / PIXTA)

生活保護の減額「国から死ねと言われている」、6000世帯超が不服申し立て   

生活保護費が段階的に削減されていることへの危機感が、受給者側に広がっている。受給者の支援団体が審査請求(行政機関への不服申し立て)をするよう呼びかけたところ、1月中旬までに6000超の世帯が応じ、請求したという。

呼びかけた支援団体は、弁護士や当事者でつくる「生活保護問題対策全国会議」などだ。請求が退けられた場合は、裁判に移行する方針。

政府は2018年10月から、食費や光熱費などにあてる「生活扶助」の基準額を見直した。政府が負担する額は約160億円削減されることになり、受給世帯のうち67%が減額となった(26%は増額)。

●大都市の子育て世帯に厳しい

特に、大都市の単身高齢世帯や子どもがいる世帯にとって厳しい内容となっている。65歳以上の単身世帯のうち76%、子どもがいる世帯のうち43%で引き下げられた。

たとえば東京23区などの大都市では、65歳の単身世帯への支給額は月8万円だったのが10月から7万8000円に減った。段階的に見直され、2年後には7万6000円となる。

40代夫婦と中学生、小学生の世帯は児童への加算も含めて月20万5000円だったのが10月から20万2000円に。2年後に19万6000円に減る。

生活保護問題対策全国会議などは、引き下げの撤回や猛暑に備えた夏季加算の創設を求めている。「これ以上何を切り詰めればいいのか」「国から死ねと言われている気がする」「いつまで引き下げが続くのか」などの窮状を訴える声が、受給者から寄せられているという。

小久保哲郎弁護士は「年間に万円単位の減額となり、影響は大きい。例えば使っている家電製品が故障したら自費で修理しなければならないが、そのための貯蓄をすることも厳しくなる」と話す。

生活保護

●困窮する単身高齢世帯が増加

また、データからは、経済的に苦しんでいる単身の高齢世帯が増えていることがわかる。

厚生労働省が1月9日に発表した直近のまとめによると、全国で生活保護を受けている65歳以上の高齢者世帯は昨年10月時点で前月より1665増えて88万2001世帯だった。うち1人暮らしの単身世帯も1649増えて80万4964世帯となり、ともに過去最多を更新した。

生活保護を受けている世帯は全体で163万9185世帯(前月比2946増)で、受給者数は209万7426人(2976人増)だった。

(弁護士ドットコムニュース)

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