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2018年02月12日 09時39分

動物を「使い捨て商品」扱い、愛猫家・塩村さんが批判する「ペット業界」の闇

動物を「使い捨て商品」扱い、愛猫家・塩村さんが批判する「ペット業界」の闇
塩村さんの飼い猫、ちみ太(左)とたまこ

昨年12月に東京地裁で判決が下された、元税理士による「猫虐待事件」以降、動物愛護法の改正をもとめる声が強まっている。動物を虐待したり、遺棄したりする人に対する罰則を強化することを訴えるネット署名活動がおこなわれ、現在まで5万7000筆以上もあつまっている。

前東京都議の塩村文夏さんは「ペット業者の規制を強めるべき」と訴えている。業者規制をしない限り、数字上「殺処分ゼロ」になっても、行政による監視の届かない「闇」での処分がおこなわれてしまうからだという。

塩村さんは、猫2匹を飼う愛猫家。里親になったことがきっかけで、殺処分をなくそうという活動をはじめた。本当の意味で「殺処分ゼロ」を実現するためにはどうすればいいのか、塩村さんに聞いた。(弁護士ドットコムニュース編集部・山下真史)

●里親になったことがきっかけで活動をはじめた

――塩村さんにとって、動物はどういう存在なのか?

私は2匹の猫を飼っています。名前は、たまこ(♀)とちみ太(♂)。犬や猫といいますが、私の大事な家族です。本当の家族よりも過ごす時間が長い。この子たちが人間の言葉を理解できなくても、私には、何を言いたいのかわかるくらい、一緒に過ごしています。

――どういうきっかけで飼うことになったのか?

20代後半の引っ越しです。そのとき、引越し先のマンションは「ペット可」の物件。しかも、たまたま、その近くの商店街に里親会の張り紙がしてあり、かわいい黒猫の写真だったので、すぐに引き取ろうと連絡しました。

ただ、審査は厳しい。里親会の人が何度も家に来て、チェックがありました。独身なので、「結婚してもちゃんと最後まで飼育をしてくれますか?」と聞かれるなど。その後、晴れて里親になりました。そのときにうちに来たのがたまこです。きまぐれな女の子ですが、とってもかわいいんです。

――現在の活動にどうつながるのか?

里親となったことがきっかけで、この子たちのような犬・猫が、年間数十万頭も殺処分されていることを知り、許せなかった。だから、私も「預かりボランティア」となり、その後、「預かりボランティア」の団体で活動して、多くの子を里親さんのもとへ送り出してきました。

ちみ太については、もともと里親さん探しをしていましたが、感染症(虫)にかかってうちに来て、たまこにも移してしまい、入れ替わりで入院しました。そのうち、私のことを母親だと思いはじめているような感じだったので、そのまま引き取ることにしました。

動物は一匹一匹、それぞれキャラクターが違って、愛らしい。感情もしっかりある。殺処分なんてされていいはずがありません。ある日、預かった子がパルボウイルスに感染して、亡くなってしまいました。感染力が強く、パルボが出たら1年は子猫をあずかれない決まり。そのあと、殺処分をなくそうという啓発活動をはじめました。

●現行の動物愛護法には「抜け穴」がある

――動物をめぐる一番の問題は何か?

かわいい動物を「使い捨て商品」として見ているペット業界が一番の問題です。「かわいい家族を迎えませんか?」という謳い文句で、犬や猫を売っていながら、「動物福祉」を推進しようとする前回・今回の法改正で抵抗しています。

「お金儲けの商品」として考えているから、日本の動物愛護や福祉はすすみません。販売している業界の実態がこうですから、そうではない犬猫の福祉の向上も含めて前にすすみにくい状態です。

――犬や猫が闇で処分されている実態とは?

前回の法改正(2012年9月公布・2013年9月施行)で、「動物愛護」についてはかなり前進しました。たとえば、(1)業者の連れてきた犬猫を役所では引き取らない、(2)終生飼養をする――です。しかし、議員立法となり、「動物福祉」を一番にしない主張があり、抜け穴ができてしまいました。

販売の規制があまりにも緩すぎたため、変わらず売れ筋商品として幼齢の犬猫がガラスケースに入れられて販売をされています。目に見えて変わった印象はありません。また、終生飼養をすることを守ろうとすると、売れ残りは繁殖に回されたりします。たとえば、犬の場合、繁殖犬として使える期間は、5年ほどです。その後の犬猫は「どこに行っているのか」「どんな環境で飼育をされているのか」など、まったくわかりません。考えただけでも恐ろしいことです。

その一例が、2015年に栃木県であった大量遺棄事件です。繁殖の役目を終えた犬たちが、どこかへ運ばれる途中で死んでしまい、遺棄された事件です。よかれ思ってした法改正が、抜け穴を作ってしまった。そのために、こんな新たなビジネスを生み出した。そして、多くの命を闇に送ってしまったのです。

これまでも闇処分はあったかもしれませんが、明らかに法改正後に「終生飼養」に困った業者がこうしたビジネスに頼っています。

●「ビジネスモデル」を変えない限り「殺処分ゼロ」にならない

――人間と動物との共生のためには何が必要か?

先ほど述べた状況を変えるためには、まず「業界の体質」にメスをいれる必要があります。「飼養施設基準」+「8週齢規制」のセットがないと、ペットショップのガラスケースに子犬や子猫が並べて販売されている異常な状態が変わりません。つまり、「大量生産・大量販売・大量処分」のビジネスモデルを変えない限り、真の「殺処分ゼロ」にはなりません。

(編集部注)現行は「7週齢規制」。つまり、生まれて7週間経たないと、親元から子犬、子猫を引き離してはならない、というもの。動物福祉先進国では8週齢が導入されている。昨今では8週齢を超える生後60日以降(犬)、13週齢以降が望ましいとされる研究結果も出ている(イタリアミラノ大2011、フィンランドヘルシンキ大学2017)。

――罰則を強化すべきという意見についてはどう考えるか?

前回の改正で、かなり厳しくなっています。しかし、しっかりと適用されていないことが問題なのです。まずは、運用を厳しくすること。これは当然のことです。世論に後押しされて、行政側も少しずつ運用を強めてきています。そのうえで、さらなる厳罰化には賛同します。

また、日本には、虐待時やネグレクト時に助けようと思っても、その権利が一切なく、仕組みもありません。こうした措置を取れるようにすることが大事でしょう。たとえば、(a)行政による緊急一時保護ができるようにする、(b)問題ある飼い主(殺傷・虐待・不適切飼養・遺棄)が二度と飼養できないようにする、(c)虐待の定義を定めて、虐待の判断をしやすくする――です。

(弁護士ドットコムニュース)

この記事へのコメント

がんてる 50代 男性

基本は適正飼養と終生飼養を広く知らしめていくことにあります。命とは何か?愛とは何か?が基本となる家庭や社会での教育や啓蒙が大切と思います。

この記事については、このようなことは全体の一部ではありますが、全てのペット関係者が組織的に行っているような誤解を生じかねません。

獣医師には動物の保健衛生指導義務というものがありますが、ペットショップの役割(できること)にはペットの飼養管理指導があります。このようなことが昔のペットショップのようにできなくなってきたことには量販店などのペットショップの導入や多店舗展開によるスタッフの継続教育がなされていないことや、動物を物と同じように取り扱い販売をしていることにも問題があるのです。動物病院に見られるような継続教育がなされているペットショップもあり、このようなペットショップは質の高いペットショップとしてのイメージが確立されていますし、動物の取り扱いについても真摯に考えて対応されています。動物の販売を物と同じように展開している問題には、ホームセンターなどの量販店の考えや対応、また、そこにテナントとした入る質の低い動物取り扱い業者が問題を招いていると考えます。もちろん全てではありませんが、多くの場合がこのような状況と思われます。量販店においては、ペットが展示してあることで客の動員や滞留時間を増やせることもメリットとして考えられてきた時代も良くなかったとも思います。

パピーミル問題については、前記のようなペット流通が後押しをしているとも考えられます。適正なブリーダーもありますが、これらの適正なブリーダーもペットショップの一つと表現され、悪しくはパピーミルと一緒くたにされていることも問題と考えております。思いの他、手間やコストがかかるブリーディングされた動物は価格を下げての販売はなかなかできるものではありませんが、量販店などでは価格訴求戦略がとられていることも問題です。また、血統書の発行や大会を主催されている団体にも問題があり、各犬種の特徴を強調するあまりに多くの問題を作ってしまっています。しっかりした血統と特徴と売れる動物を繁殖するのでは、その目的が明らかに違うことにもなります。

ペット業界は記事にもあるように改善すべきと考えます。このペット業界が中心となって作った団体が愛玩動物飼養管理士を認定している公益社団法人日本愛玩動物協会であり、ペット業に従事する方のボトムアップと適正飼養と終生飼養の普及に貢献することでの動物愛護を目的に設立されたものです。また、資格者が動物愛護活動を行う支部を創設したのも約30年前です。

この資格には三段階のレベルがあり、一般の方のトップレベルとした2級資格を動物取扱業の責任者に認めた条例の最初の一つに東京都がありました。私はここにも問題があったと思っております。何故2級だったのか?です。現在は内容の変更されて随分と素晴らしいものに改善されてはおります。

いろいろなことがあり、ここまでも長くなりましたが書ききれません。

記事執筆されるならば一方的な意見の押し付けや誤解が生じないようにして頂きたいと思います。意見がそぐわないと他人の話しを聞かなかったり、一部を知って全てを知ったことにはならないと考えております。比較的動物保護活動をされている方に多くいらっしゃいますので、ご注意頂くと良いかもしれません。

正直に申し上げ、執筆者の対応や発言がペット業界の方々の対応を硬化させたり、非協力的にさせたり、反感を持たせたりしてしまうと危惧しております。

長々と申し訳ありませんでした。
御社のますますのご繁栄とご隆盛をお祈り申し上げております。

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パリス 50代 女性

私は動物をお店で売ることを法律で禁止してほしいと思います。ペットショップや、ペットショップではないお店でもたくさんの子犬や子猫がガラスケースに入れられて売られています。あまりにも安易に手に入るためあまり深く考えずに購入する人が多すぎるのではないでしょうか。そのためにどんどん子供を産ませるブリーダーやパピーミルが増えます。とても悪循環に思えます。日本では引き取り手のなかったり、飼い主の勝手で捨てられたりする犬や猫がたくさんいます。お店で生体動物を販売することを禁止できれば、不幸な動物をもっと減らすことができるのではないでしょうか。

女性 40代

販売をしていることと、安易に購入することを結びつけるのは、タバコを販売しているからガンになったと言っているのと同じ。
ペットショップを悪者にするのは簡単ですが、実際に自分の能力も考えずに犬猫小動物を飼って捨てているのは、飼い主です。
そこを履き違えないように。人のせいにして安心する時代は終わりにしましょう。

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moh 40代 女性

ホームセンターのペットコーナーで生体販売をできないようにして欲しい。
ペットショップをいきなりなくすのは無理だし、その仕事で食べてる人も困るし。徐々に減らしていけるといいんだけど。
そして、まずはブリーダーの免許・登録制じゃないかな。
知識が無いのに生ませて売るのを可能にしてるから、子犬・子猫工場とかやっちゃうんだよ。

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匿名ユーザー 60代以上 女性

命とは考えず商品、云わばお金儲け。こんな輩に増やして棄ててまた、増やして棄てて。いつまでこんな悪徳人を許しておくのか。
法規制・懲罰強化改正を一秒も早く。

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