「これ助けちゃアカンよな?めちゃくちゃ心配なんだが」。スズメのヒナが地面を歩いているところに遭遇した投稿者が、保護すべきかどうかを悩む投稿が、ネット上の掲示板で議論を呼んだ。
「育児放棄された可能性があるから保護した方がいい」「親鳥が近くにいるはずだから保護する必要はない」などの意見が投稿される一方で、「(勝手に保護したら)罪になるって聞いた」という意見もあった。
野鳥を保護することは、法律に触れる行為なのだろうか。ケガをしたり、親とはぐれたとみられるヒナを見つけた場合どう対処すればいいのか。動物の法律問題に詳しい鈴木智洋弁護士に聞いた。
●野鳥を捕獲するためには、「許可」が必要
「一般的に、野鳥を保護して自宅などで飼育することは、『鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(鳥獣保護法)』に違反する可能性があります。鳥獣保護法は、無許可で野鳥などの鳥獣を捕獲することなどを一般的に禁止しています(同法8条)。
そのため、野鳥を自宅で飼育しようとして、無許可で野鳥を捕獲することは、この規定に反する違法な行為ということになります。
違反した者には、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられることもあります(同法83条1項1号)」
適法になるのはどんな場合なのか。
「一応、都道府県知事等の許可を得れば適法に捕獲することができるとされています。
ただし、『愛玩のための飼養』の目的で捕獲することは、密猟を助長する恐れがあるため、原則として許可しない運用が採られています。
特段の事情でもない限り、許可は出ないと考えて良いと思います。ですから、適法に野鳥を捕獲し、自宅で飼育することはかなり難しいでしょう」
●はぐれたヒナや、ケガをした野鳥を保護することは?
では、今回のケースのように、親からはぐれたヒナや、ケガをした野鳥を保護することはできないのか。
「鳥獣保護法は、ケガをしている鳥、親からはぐれたヒナなどを保護する目的であれば、捕獲することができるとしています。
ただし、その場合であっても都道府県知事等の許可を得ることが必要とされていますので、その許可を得ずに捕獲した場合は、やはり鳥獣保護法8条に違反することになります。
そのため、ケガをしている鳥や親からはぐれたヒナなどを保護したいと考える場合であっても、許可が必要になります。
違法捕獲と誤解されないためにも、保護をする前に各都道府県の野生鳥獣担当機関に連絡をして指示を仰ぐようにしましょう。
かわいそうだからといって、自分の判断のみで安易に保護しないようにすることが肝要かと思います」
鈴木弁護士はこのように述べていた。