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2018年11月03日 09時58分

「報酬はチャオちゅーるで…」 東北のヒマな図書館を救った猫館長と神保町の猫の本屋さん

「報酬はチャオちゅーるで…」 東北のヒマな図書館を救った猫館長と神保町の猫の本屋さん
神保町にゃんこ堂の「リクジロウ店長」(左・@保護猫写真家ねこたろう)と猫ノ図書館の「むぎ館長」(右・胆沢図書館提供)

東北に猫が館長を務める図書館がある。岩手県奥州市の胆沢図書館は2017年2月22日の「猫の日」、猫本ばかりを集めた常設コーナー「猫ノ図書館」をオープン。館長を公募した際に選ばれたのが、ブリティッシュ・ショートヘアの「むぎ」館長だった。現在は猫好きが県外からも集まる人気図書館になっているが、むぎ館長の就任前、胆沢図書館では来館者数や貸出冊数が減少、誰も訪れない「ヒマな図書館」へとまっしぐらだった。そんな図書館が、起死回生をと助けを求めたのが猫の本屋さん「神保町にゃんこ堂」(東京都千代田区)だ。

むぎ館長

「神保町にゃんこ堂」は、本の街・神保町姉川書店の中にある猫本専門の書店。実は「神保町にゃんこ堂」も、かつては出版不況などを受けて、一度は閉店を検討するほど「客の来ない本屋」だったという。しかし、2013年6月に「にゃんこ堂」を始め、今では店内のほとんどが猫本。全国からファンが訪れる猫好きの聖地となっている。

「客の来ない本屋」と「ヒマな図書館」が「猫の手」を借りてみたら、何が起きたのか。猫と本とまちづくりの可能性を探った。 (弁護士ドットコムニュース編集部・猪谷千香)

●貸出冊数が2年で1万冊も減少…「ヒマな図書館」が考えた起死回生の策

本の街・神保町。交差点近くにある昔ながらの街の本屋さんだが、一歩店内に入ると、どこを見回しても猫、猫、猫…。表紙やタイトルに猫が入った本が並ぶ。その数、実に3000冊。店内では写真展や里親会を開いたり、オリジナルグッズを販売。お店の公式サイト(https://nyankodo.tokyo/) やSNSでは、猫のリクジロウ店長がかわいらしい姿で案内、猫好き御用達の本屋さんとして人気を集めている。

ねこ

そんな「神保町にゃんこ堂」に連絡をしてきたのが、胆沢図書館の主任司書、渡辺貴子さんだった。胆沢図書館は当時、来館者数や貸出冊数の減少に悩んでいた。2013年度に約7万7000冊だった貸出総数は、2015年度には6万7000冊と、2年間で1万冊も減っていたのだ。「少子高齢化や人口減少の影響もあるが、図書館自体の魅力をアップしなければ、図書館本来の機能まで失われてしまう」という危機感もあった。

そこで、渡辺さんたちは「猫ノ図書館」を作ることを検討した。「世の中は空前の猫ブームで、ネコノミクスという言葉も登場していました。まだ日本では猫の図書館が公立図書館に存在していなかったので、話題になると思いました」と渡辺さんは振り返る。

しかし、自力で本棚をつくってみたものの、どうもうまくいかない。そこで、「町の小さな『売る気のない本屋』が猫本で生き残りをかける」というネットの記事で紹介されていた「神保町にゃんこ堂」に助けを求めることにした。

●「神保町にゃんこ堂」オープンの影に、図書館の存在

突然、まったく知らない東北の図書館から連絡のあった姉川書店。店主の娘で、神保町にゃんこ堂の仕掛け人であるアネカワユウコさんは、図書館ならばと協力を決めたという。

「出版不況や活字離れと言われていますが、本に興味を持たない人が増えてきました。神保町にゃんこ堂は、普段は小説を読まないけれど、猫が出てくる小説なら読んでみようという人を増やして、本が生き残るお手伝いができたらいいなと思って始めました」とアネカワさん。神保町にゃんこ堂のオープンの際、図書館に助けられたこともあったという。

「オープンする時に、猫本を集める時には国立国会図書館や地元の区立図書館で、猫本を借りて読みました。当時はそこまで、猫ブームではなかったので、大型書店には岩合光昭さん(世界的な動物写真家)の写真集とハウツー本ぐらい。ネット書店も猫本がありましたが、表紙しか見られないのでどの本を選べば良いのかわかりませんでした。ですので、今度は図書館にご協力できればと思いました」

猫

アネカワさんは「猫ノ図書館」のスペシャルアドバイザーとして、渡辺さんたちに人が足を止めてくれるような本の展示方法などを丁寧にアドバイス。「話題作りにもなるし、地域で盛り上げられるように」と、神保町にゃんこ堂の猫の店長にならって、本物の猫の館長を募集、SNSでのPR活動をするように助言した。

●地域再生につながった「猫の手」

そうして「猫ノ図書館」は魅力ある図書館へと変貌。猫本約600冊を揃えて、グランドオープンした。猫本の図書館は話題を呼び、メディアでも多く取り上げられて、オープン初年度の貸出冊数は前年比で3700冊も増えた。現在では、県外からもわざわざ訪れる人もいるほど、「猫ノ図書館」は人気スポットになっている。

ねこ

公募で選ばれたむぎ館長は非常勤ではあるものの、イベントの際には図書館を訪れて人気を集めている。むぎ館長の秘書も兼務する渡辺さんによると、館長は辞令が交付される際に大好きな「CIAO ちゅ~る」をプレゼントされているという。

「猫の手」を借りて、「客の来ない本屋」と「ヒマな図書館」を返上した「神保町にゃんこ堂」と胆沢図書館。11月4日には、図書館がある胆沢文化創造センターでアネカワさんのトークイベント「 『客の来ない本屋』の娘が書店再生に挑戦~猫の手を借りて『客の来ない本屋』と『ヒマな図書館』の再生はじめました~」が開催される(問い合わせは胆沢図書館:0197-46-2133)。

「神保町は本の街ですが、書店の経営は厳しい状況が続いています。神保町を訪れる人も減っているという危機感があります」とアネカワさん。そうした中、神保町にゃんこ堂は、魅力的な書店として街の求心力になっている。また、2011年から猫の殺処分ゼロを継続している千代田区と連携してイベントも実施するなど、地域にも貢献している。

「トークイベントでは、町おこしや地域再生の仕事について、お話ししたいと思います。何がどう転ぶかわかりません。でも、やらないと何も起こらないということをお伝えしたいです」

(弁護士ドットコムニュース)

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