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年俸「超大幅ダウン」オリックス看板選手の巨額税金、税理士が試算…貯蓄ないと大ピンチ
写真はイメージです(104000 / PIXTA)

年俸「超大幅ダウン」オリックス看板選手の巨額税金、税理士が試算…貯蓄ないと大ピンチ

プロ野球で、来季に向けた契約更改の話題が少しずつ増えてきた。そんななか、野球協約が定める年俸の減額制限を超える大幅減額を提示される選手がいることが、早くもスポーツ紙によって報じられている。多額の税金を支払うことができるのか心配になる話題だ。

野球協約92条は、年俸1億円超の選手の場合、40%を超えて減額されることはないことを規定している(1億円以下なら25%)。と同時に「選手の同意があればこの限りではない」ことも明記している。

減額制限を大幅に上回る「ダウン率」だった例は過去にいくつもある。スポーツ報知などによると、オリックスから2007年に中日に移籍した中村紀洋選手は年俸2億円から400万円に減り、ダウン率は98%と著しく大きかった。今季ではソフトバンクから中日に移った松坂大輔選手の年俸が4億円から1500万円に下がったことが伝えられていた。

●オリックス中島宏之内野手→退団報道

サンケイスポーツ(10月30日付)などによると、オリックス金子千尋投手に対し、球団側から減額制限を超える大幅ダウンが提示されたという。また11月2日には、同様に大幅ダウンを提示された中島宏之内野手がその条件を受け入れず、退団を決めたと報じられた。

今季、中島内野手は3億5千万円の単年契約を結んでいて、金子投手の年俸は5億円だった。来季のことがどうなるかはわからないが、仮に大幅に年俸が下がれば、税負担に耐えられるのか心配だ。税金はどれくらいになるのか、李顕史税理士に聞いた。(金額は推定)

●年俸5億円なら所得税2億2500万円

ーー2019年2月〜3月の確定申告は、いつの所得に基づいて申告するのでしょうか

「2019年の確定申告は、2018年の所得に基づき申告します。プロ野球選手は個人事業主なので、所得税のうち事業所得という区分に分類されます。

主に年俸収入から専属トレーナーなどへ支払う報酬・経費を差し引いて所得が計算されますが、ここでは年俸以外の収入や支出(グッズ販売の版権収入やトレーナーなどの経費)は考えず単純に試算してみます」

ーーその前提で計算すると税金は概算でどれくらいになりますか

「中島選手の場合は年俸3億5千万円に対して所得税は1億5573万円、金子選手の場合は年俸5億円に対して所得税は2億2465万円もかかります。所得税の支払いだけでもかなり手取りが減ってしまいますが、さらに住民税を納めなければいけません。

中島選手の場合は住民税3500万円。金子選手の場合は住民税5千万円がかかります。経験豊富なプロ選手なので、税金について全く考えないということはないと思いますが、もし納税すべき資金を貯めておかなかったら大ピンチです」

●前年の年俸が高いとつらいことに

ーー来季、仮に2人の選手の年俸が半分になった場合はどんな影響が考えられますか

「年俸がそれぞれ1億7500万円(中島選手)と2億5千万円(金子選手)になってしまったと仮定してみましょう。たとえば金子選手の場合は年俸2億5千万円の中から、先ほど指摘した税金5千万円(住民税)を支払わなければなりません。そのうえで、2020年2月〜3月の確定申告に備える必要があります」

ーーどういうことでしょう

「住民税は6月、8月、10月、翌年1月に分割で納めることになっています(一括納付も可能)。なので、すでに下がった年俸でシーズンが始まっているのに、高かった時の年俸をもとにした納税を求められてつらくなるのです。

プロ野球は一流選手になれば億単位の年俸が稼げる夢のある職業です。ただ、そのぶん税金も半端じゃないのが実情です」

【プロフィール】

李 顕史(り・けんじ)税理士

李総合会計事務所所長。一橋大学商学部卒。公認会計士東京会研修委員会副委員長。東京都大学等委託訓練講座講師。PwCあらた有限責任監査法人金融部勤務等を経て、2010年に独立。金融部出身経歴を活かし、経営者にとって、難しいと感じる数字を分かりやすく伝えることに定評がある。また銀行等にもアドバイスを行っている。

事務所名 : 李総合会計事務所

事務所URL:http://lee-kaikei.jp/{target=_blank}

(弁護士ドットコムニュース)

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