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2018年04月08日 08時41分

犯罪被害者支援、明石市が「日本一手厚い」条例改正…真相究明のサポートなど「画期的」

犯罪被害者支援、明石市が「日本一手厚い」条例改正…真相究明のサポートなど「画期的」
写真はイメージです(プラナ / PIXTA)

兵庫県明石市で、犯罪の被害にあった人たちを支援する「犯罪被害者等支援条例」の改正案が可決され、4月1日から施行された。市によると、これほど手厚い支援内容は全国的にみても例がないという。さっそく「画期的だ」と評価する声がSNSなどで上がっている。

殺人や性犯罪などの事件の被害者(市民)が対象。被害に遭い、民事訴訟で加害者に賠償金を支払うよう判決が出ても、加害者側が無視して応じない場合がある。一方、損害賠償請求権は10年で時効となるため、消滅時効を中断させるためには再び提訴する必要がある。

この時の訴訟費用として印紙代や切手代が数十万円かかることがあり、負担になっていた。改正条例ではこれを全額補助する。また未解決となっている事件で情報提供を求めるチラシを作る費用も、年間30万円まで補助することにした。実際に、犯罪被害者支援に関わってきた弁護士はこの条例をどうみるか。望月晶子弁護士に聞いた。

●被害者に向き合う姿勢、条例で整備

ーー犯罪被害者のための法令はどのようなものがありますか

「犯罪被害者のための法律としては、国が定める犯罪被害者等基本法がありますが、住民に身近な存在である地方公共団体による具体的・直接的支援は被害者の日々の生活を支える基本となります。

明石市は従前から他の地方自治体に先駆けた先進的な、被害者のことを真に考えた、被害者のための条例を制定していました。300万円を上限とし未払いの賠償金を被害者に支払う立替支援金制度、二次的被害の防止等です。

明石市がさらにすばらしいのは、その実際の運用です。二次的被害の防止の実現のため、市内の書店をはじめ市民に配慮を要請し、結果的に連続児童殺傷事件の加害者が出版した本を明石市内に置かないようにすることができ、ご遺族が守られたケースがあったと聞いています」

ーー今回の改正はどのように捉えていますか

「今回さらに、『再提訴等支援』『真相究明支援』『被害者家族や性犯罪被害者等への配慮についての基本理念の追加』といった新たな支援策が策定されました。その中で、『被害者等の支援は、犯罪被害者等が刑事事件とされることを望まない場合は、その希望に応じて、適切に行われなければならない』というのがあります。

特に私たち法律家は、裁判一本鎗になりがちですが、被害者にとってはそうでない場合もあります。そのような被害者も寄り添った支援が受けられることは、被害者に安心して選ぶ権利を保障するものでもあります。また、多くの被害者の最大の希望は真相究明ですが、そのための支援というのも画期的です」

ーーさらに既存の支援策も見直しをしているようですね

「はい。支援対象金・裁判参加の旅費補助の拡充、日常支援策の申請期間の延長、市民要件の見直し等もされました。これらは既存の支援策をさらに充実させたものであり、一度条例を制定したからといって安住せず、常に被害者に向き合い、その声を受け止めて、施策に反映・向上させ続ける市政のあり方は、ぜひ他の自治体に見習っていただきたいところです。

なお、明石市では、被害をなくすには、加害者の更生も重要と考え、刑務所出所者への支援にも力を入れているそうで、多角的視点から、バランスの取れた施策が講じられています」

●支援条例、1500の市区町村は未整備

ーー犯罪被害者を支援する条例は全国的に整備は進んでいるのでしょうか

「犯罪被害者等支援条例は、平成30年4月時点で、33都道府県、およそ1500の市区町村で未だ制定されていません。充実した被害者支援を継続していくためには、根拠となる条例が必須です。明石市に見習って、今後の地方自治体での被害者支援が充実していくことが望まれます」

(弁護士ドットコムニュース)

望月 晶子弁護士
慶応義塾大学経済学部卒業後、㈱三菱商事に勤務した後、平成12年弁護士登録。日本弁護士連合会犯罪被害者支援委員会事務局次長等を務める。性暴力被害者の支援を行うNPO法人レイプクライシスセンターTSUBOMIを立ち上げ代表として活動している。

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