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#MeToo した女優・石川優実さんが受けてきたセカンドレイプ「お前が悪い」「可愛くないからだ」
石川優実さん

#MeToo した女優・石川優実さんが受けてきたセカンドレイプ「お前が悪い」「可愛くないからだ」

なんで、被害者がここまで卑下しないといけないのかーー。読者の多くはそう思い、胸を痛めたのではないか。昨年末、ブログでグラビアアイドル時代のセクハラ被害を告白した女優・石川優実さんのことだ。

石川さんは2月25日、東京・下北沢の「本屋B&B」で開かれた「MeToo」を考えるトークショーに登壇。記事に込めた意図や反響について語った。(弁護士ドットコムニュース・園田昌也)

●同業者からの薄い反応

石川さんは2017年12月、はあちゅうさんのMeTooに背中を押され、「note」に記事を投稿。望んでいないのに露出の多い撮影を強いられたことや、テレビ局のプロデューサーに性接待を要求されたことなどを綴り、大きな反響を呼んだ。

「同じような被害に遭っている人、芸能界にすごくたくさんいると思う」と石川さん。「私はそんなに仕事がなく、失うものがほとんどなかった。私が書かなきゃという責任感に駆り立たれていました」

しかし、友人も含め、同業者の反応は薄かったという。「結構な告白をしたのに、こんなに芸能界からの反応がないなんて…」。改めて、問題の根深さに驚いたそうだ。

●予防線だらけの告白「セカンドレイプ的なことは10年以上言われてきたので」

一方で、読者の反応は概ね好意的なものだったようだ。一部石川さんを責めるような反応も「ほとんどが予想の範囲内でそんなに落ち込まなかった」という。

その理由は「予防線」の多さにある。告白した記事には「体験したことは、全て自分のせいだと思っています」など、自責の言葉が並ぶ。その上で「加害者は放っておいて良いのでしょうか」と問いかける。

「セカンドレイプ的なことは10年以上言われて来たので、そう言わせない文章を書きました。セカンドレイプの言葉は問題解決に役立たない。そんな論争をされても意味がないと思いました」

実は2004年のデビュー以来、石川さんは幾度となく周囲に相談してきた。しかし、その度に「お前がしっかりしていないのが悪い」「可愛くないから、そのくらい露出しないと売れない」などと一蹴されたという。

だから、人から言われる前に自分で書いた。目的は被害が生まれる構造をなくすことだから。被害者を責めても、被害はなくならないから。

●言えないし、言っても叩かれる…「たかが共感」までがあまりにも遠い

予防線は「ポーズ」ではなく、本心でもあったようだ。石川さんはこれまで、周囲の声を真に受け、不満を募らせる自分を「ワガママな女」だと思ってきたという。それが今回、読者からの「分かるよ」「つらかったね」といった声もあり、ようやく「私自身も被害者なんだと気づいた」

「自分も被害者だと思えたら、同じ立場の人にも優しくできるようになった。以前なら、自分も我慢してきたから他人も我慢すべきだとか、何も考えずにセカンドレイプのような言葉を投げつけていたと思う」

「たかが共感」と思うかもしれないが、性暴力の被害はそんな簡単なものまでの距離が実に遠い。「分かってもらえることって、自分の傷を癒すのにすごく大きい。受けた傷を(告白したとき)『そうなんだね』と言ってもらえる世の中になってほしい」。石川さんはそう語る。

(弁護士ドットコムニュース)

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