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Googleマップを改ざんして、振り込め詐欺に利用…どんな犯罪になる?
写真はイメージです(xiangtao / PIXTA)

Googleマップを改ざんして、振り込め詐欺に利用…どんな犯罪になる?

Googleマップに掲載されている銀行の電話番号に電話したら、振り込め詐欺の集団につながるーー。ストレージ大手のEMCジャパンのセキュリティ部門は、こんなトラブルが起きる可能性があることを指摘している。

日本経済新聞の記事によると、手口としては、Googleマップの地図情報の訂正機能を使って、犯罪者側が銀行などの電話番号を改ざんして、自分たちにつながる電話番号に書き換える。そして、電話をしてきた利用者に対して、お金を振り込ませるという。

被害者側から電話をかけさせるこの手口は「リバースビッシング」と呼ばれているそうだが、このような手口はどんな犯罪になるのか。服部啓一郎弁護士に聞いた。

●騙された利用者が金を払えば詐欺罪に

リバースビッシングは、どのような犯罪になるのか。

「騙された利用者が実際にお金を支払えば、犯人には詐欺罪(刑法246条)が成立します。 詐欺罪が成立するという点では、オレオレ詐欺のような一般的な振り込め詐欺と同じです。 最初に電話を架けた人が、犯人側であるかどうかは関係がありません」

Googleマップの訂正機能を悪用するという手口自体は、罪にならないのか。

「犯罪になる可能性は十分あります。

実在する銀行や企業の電話番号を改ざんすることによって、その銀行などの業務に悪影響を与えるので、偽計業務妨害罪(刑法233条)が成立する可能性があります。 なお、2015年にGoogleマップの訂正機能が悪用された事件では、軽犯罪法上の業務妨害罪(同法1条31号)で犯人らが書類送検されたと報じられています」

リバースビッシングの手口は他にもありそうだ。考えられる犯罪は何か。

「訂正機能を利用するのではなく、企業サイトのデータを保存しているサーバに侵入し、サイト上の企業情報を改ざんした場合は、不正アクセス禁止法違反(同法3条、11条)となります。

また、電話番号の改ざんではなく、地図の画像を改変し、実際には存在しない建物や企業を表示させたのであれば、著作権法違反が成立する可能性があります。

巧妙化する詐欺への対策としては、悪質な手口そのものを罪に問うことも必要になってくるでしょう」

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

服部 啓一郎
服部 啓一郎(はっとり けいいちろう)弁護士 服部啓法律事務所
これまで刑事事件や債務整理事件を多数受任してきた。 弁護士登録後1年で独立。2013年4月に、パートナーとして深澤諭史弁護士を迎える。 現在は、刑事事件、IT関連事件、債権回収などを精力的に取り扱う。

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