インターネットで探して、誕生日ケーキやプレゼントを注文する人も多いだろう。しかし、その配送をめぐっては、トラブルも起きることもある。
インターネットのQ&Aサイトには、「誕生日用に大きなケーキを注文したのに、それが期日までに届かなかった」という相談が寄せられていた。相談者は「残念な気持ちの方がいっぱいですが、代替のケーキのお金ぐらいは代償してほしいというのが正直な気持ちです」とケーキ代の弁償を請求できるかどうか、気にしていた。
商品が期日になっても届かなかった場合、商品の引き渡しではなく、商品の代金返還請求をすることはできるのだろうか。若狹美道弁護士に聞いた。
●誕生日ケーキであることを告げ、その日に間に合わせるという約束があれば、契約は解除できる
「誕生日ケーキやプレゼントを注文する場合、誕生日に届かないと無意味ですよね。
売主がそのような性質であることを知らされて、それを承諾して契約が結ばれた場合、一定の時までになされないと意味がなくなる『定期行為』についての契約となります。そのため、期日を過ぎても商品が届かなかった場合は、買主は売主に対して、直ちにその契約を解除することができます」
若狹弁護士はそう指摘する。通常の契約と、どう違うのだろうか。
「通常の契約で解除をする場合は、相当の期間を定めて契約を果たしてもらうよう求め、その指定した期間に行われなかった場合にのみ、契約の解除をすることができます(民法541条)。しかし、先ほど申し上げた『定期行為』の場合、そのような手続を経ずに、直ちに契約の解除ができるわけです」
●誕生日ケーキ代は、返還してもらえる
商品の代金は返って来るのだろうか。
「契約の解除ができるということは、まだ果たされていないことについては消滅します(今回のケースでいうとケーキ等を届けることです)。そして、既に支払われた代金については、返還請求ができることになります。
したがって、買主としては、売主に対し、解除の意思表示をすれば、代金を返してもらえることになります」
「誕生日用でその日に届かないと無意味」といった内容を売主に告げていない場合、あるいは、告げていても期日に間に合わせるという約束がない場合はどうなるのか。
「その場合は、クリスマスケーキやウェディングドレスと異なり、性質上の『定期行為』とみなされないので、やはり通常の契約解除の手続を経る必要があります。したがって、その間に、ケーキが届いてしまえば、契約の解除はできないことになります」