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「サカナクション」電子チケット「転売」で初摘発、法的問題は紙チケットとどう違う?
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「サカナクション」電子チケット「転売」で初摘発、法的問題は紙チケットとどう違う?

人気バンド「サカナクション」のコンサートチケットを転売目的で不正入手したとして、兵庫県警は6月7日、和歌山市の40代男性容疑者を詐欺容疑で逮捕、送検したと発表した。

朝日新聞などの報道によると、男性容疑者はファンサイトの有料会員に登録。転売目的を隠して、電子チケットの販売サイトで先行予約し、スマートフォンのアプリにチケット2枚を配信させて詐取した疑いがもたれている。県警は、チケット販売の手続きをする販売会社の社員がだまされた対象だと捉えたという。

男性容疑者は、2枚を7万4000円でネットオークションに出品して、購入者に対して、身分証明書と引き換えに、スマホごと貸し出そうとしたという。

神戸新聞では、電子チケットでは全国初の摘発であることが報じられているが、電子チケットの転売は、紙のチケットの転売と法的問題が異なるのだろうか。これまで、転売に関する摘発は迷惑防止条例違反などが多かったが、なぜ今回は詐欺容疑となったのか。岡田崇弁護士に聞いた。

●紙のチケットとの違い

チケット転売については社会問題となっていますが、これまでは迷惑防止条例違反での摘発例などが多かったところです。具体的には、地域によりますが、「乗車券等」を転売目的で購入することの禁止(ダフ屋行為の禁止)の条項違反などとしていました。

しかし、電子チケットでは「乗車券等」にあたらないことから、迷惑防止条例の同条項違反とすることができません。その一方で、興行主が直接チケット販売をおこなっており、転売目的でのチケット購入を明確に禁止していることから、転売目的を隠した上で、チケット販売の手続きをする販売会社の社員を欺して購入したことを捉えて、詐欺容疑での摘発をおこなったものと思われます。

もっとも、このように捉えれば、電子チケットではなく、紙のチケットでも、ファンクラブなどに興行主が直接販売をすることが増えていることから、「転売目的での購入」を禁止しているのにそれを秘して購入したとして、詐欺に当たる可能性もあります。

今後、ファンクラブなどで興行主から転売目的でチケットを大量に購入している者に対しては、同様に詐欺容疑での摘発が積極的におこなわれる可能性もあり、注目されるところです。

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

岡田 崇
岡田 崇(おかだ たかし)弁護士 岡田崇法律事務所
大阪弁護士会・消費者保護委員会元委員長

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