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「通信販売はクーリングオフの対象」誤回答が8割超え、「制度の勘違い」浮き彫りに
消費者庁(リュウタ / PIXTA)

「通信販売はクーリングオフの対象」誤回答が8割超え、「制度の勘違い」浮き彫りに

消費者庁のアンケート調査で、「クーリング・オフ制度」を知っていると回答した人のうち「通信販売は制度の対象である」と誤った回答をした人が8割を超えていたことがわかった。消費者庁が6月8日に公表した。

クーリング・オフは、いったん契約の申し込みや契約の締結をした場合でも、一定期間内なら無条件で契約の申し込みを撤回したり、契約を解除したりできる制度。対象となる取引は法令などで定められており、店舗や通信販売で買った商品は対象外となっている。

消費者庁は、今回の調査結果について、クーリング・オフ制度に対する消費者の理解度に「課題がある」としている。

●制度内容知ってると答えた人の8割が「誤回答」

消費者庁によると、今回のアンケート調査は、特定取引法をテーマにしたもので、2023年4月に全国の15歳以上の男女5000人を対象にインターネット上で実施された。

クーリング・オフについて、60.3%が「制度の名称と内容を知っている」、28.5%が「名称のみ知っている」と回答。名称の認知度は約9割にのぼるとしている。

一方で、制度の「名称と内容を知っている」と回答した3014人のうち、制度対象外であるにもかかわらず「できる」と誤った回答をした人の割合は、「通信販売での買い物」で82.4%、「店舗での買い物」で53.6%、「仕事用、営業用の買い物」で58.9%という結果に。

同じく制度対象外の「不動産の賃貸契約」や「自動車販売の契約」についても、それぞれ67.6%、69.5%が「できる」と誤った回答をするなど、制度内容を正確に把握していない消費者が相当数いることが浮き彫りになった。

正答率が高かったものとしては、「訪問販売で契約から一ヶ月が経過していたが、契約書が交付されていなかった」(60.7%、制度対象)、「訪問販売で契約書が交付されていたが、クーリング・オフの記載がなかった」(80.9%、制度対象)、「使用済みの消耗品(化粧品、健康食品など)」(74.2%、制度対象外)があった。

制度の名称について認知している回答者の認知経路については、「ニュースや報道」と回答した人の割合が51.5%と最も高かった。「学校・勤務先」(16.7%)、「自治体・国民生活センター・消費者生活センターからの情報」(15.5%)が続いた。

●何かあったら「消費者ホットライン『188』に相談して」

消費者庁の担当者は、弁護士ドットコムニュースの取材に対して、通信販売が制度対象だと誤回答した割合が高かったことについて「消費者が誤って注文した場合に、店舗側が任意で取り消してくれるケースがあり、それをもってクーリング・オフの対象だと思って回答した人もいるかもしれない」と述べ、店舗側の任意で取引を解消したケースと混同している可能性を指摘した。

制度の認知経路については「今後の理解度向上を図る上で把握しておきたかった内容」と説明。「引き続き理解度の向上に努める」として、同庁は、調査結果の発表日にクーリング・オフ制度の基本について「これだけはまず知っておいてほしいというものをまとめた」(担当者)資料を公表した。

担当者は「対応に困った場合や制度対象かどうかに悩んだ場合には、消費者ホットライン『188』に相談してほしい」と呼びかけた。

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