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医学部不正入試問題で順天堂を提訴、「受験生に受験料を返して」消費者団体
東京・霞が関の司法記者クラブで会見する消費者機構日本の代理人弁護士ら(2019年10月、弁護士ドットコムニュース撮影)

医学部不正入試問題で順天堂を提訴、「受験生に受験料を返して」消費者団体

順天堂大学医学部が女性や浪人生に対して不公平な入試を行っていたとして、特定適格消費者団体「消費者機構日本」は10月18日、学校法人順天堂を相手取り、受験生に対して受験にかかった費用を支払うよう求める共通義務確認訴訟を起こした。

消費者機構日本によると、対象となるのは2017年、2018年の一般入試およびセンター試験利用入試を受験した女性や浪人生で、のべ人数は約3800人。消費者機構日本ではこれまで、これらの受験生に対して入学検定料などを返金するよう申し入れを行ってきたが、順天堂が拒否したため、提訴にいたったという。

この訴訟は、トラブルがあった際に消費者に代わり、消費者団体が被害の回復を求めて裁判を起こせる消費者裁判手続特例法に基づくもの。消費者機構日本はこれまでに、同じく不正入試問題で、東京医科大も提訴している。

●「女性や浪人生に不利な基準を明らかにしなかったことは違法」

消費者機構日本の代表理事らは同日、東京・霞が関の司法記者クラブで会見を行った。佐々木幸孝代表理事は、「消費者が通常だったら泣き寝入りしてしまう被害を回復することが共通義務確認訴訟です。順天堂による医学部不正入試は、社会の公正を失うものであり、座視できないと考え、訴訟にいたりました」と提訴の理由を語った。

訴状などによると、「募集要項において、女性であることや浪人年数などを理由に不利益な取り扱いを行う合否判定基準を設けていることを明らかにせずに入学試験を実施することは、社会的相当性を逸脱する違法な行為」と指摘。入学検定料、送金手数料、郵送料、受験に要した旅費宿泊費などを求めている。

代理人の1人である鈴木敦士弁護士は会見で、「今年は公正な入試が行われたということで解決したように思われますが、大学側の説明では『女子の方が男子よりコミュニケーション能力が高いので補正した』といった発言があるなど、本当に反省しているのかよくわからない。やったことについて、責任をきちんと取ってもらうことが、真の再発防止になると考えている」と話した。

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