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2018年01月04日 10時14分

上司が部下の新入社員と恋愛して「えこひいき」、配置転換や降格を人事に要求したい!

上司が部下の新入社員と恋愛して「えこひいき」、配置転換や降格を人事に要求したい!
画像はイメージです(つむぎ / PIXTA)

「この案件は、ミワちゃんに譲ってあげて」。都内のIT系企業で営業を担当するヨウコさん(20代)やその同僚たちは、半年ほど前から上司からそんな要求をされることが増えた。「ミワちゃん」とは、新入社員だ。教育のためにも仕事を回すことは、ヨウコさんら同僚は何ら異論はない。しかし、問題はその量だ。

というのも、ヨウコさんたちは、業績連動型のボーナスが年収の大部分を占める。そのため、せっかく獲得した案件であっても、「ミワちゃん」に仕事を譲れば、ヨウコさんたちの業績にはならない。そのため、部のメンバーたちの成績は大幅ダウン。前年に比べ、給与が2割ほど減る見込みなのだ。

メンバーの不満が募っていた頃、上司への信頼が損なわれる決定的な出来事があった。「部のメンバーの1人が、2人がホテルに入っていくのを偶然目撃してしまったんです。2人は一緒に出張にも行くなど、公私混同しているようにも見えます。独身同士の恋愛とはいえ、私たちの収入が減るなど実害は大きく、許せません。不適切な業務配分によって、私たちの査定が一方的に悪くなったのですから」とヨウコさんは話す。

ヨウコさんたちは、思い切ってこのこの件を人事部に報告し対処したいと考えている。しかし、上司も新入社員も独身だ。それでも上司の行為は問題だと言えるのだろうか。鈴木謙吾弁護士に聞いた。

●2人の写真や業務・会話の記録をこまめにとっておこう

「まず職場内の恋愛は自由です。今回ヨウコさんから寄せられた相談の事例では、問題の2人はともに独身者ですので、恋愛関係にあることで法的な問題は生じません。しかし、他の社員の業務に影響を及ぼす場合には、労働者の就業環境を害したとして、上司の行動は問題になりうるでしょう」

ヨウコさんたちは、人事部へ駆け込むことを考えているそうだ。

「人事部に駆け込む前に、証拠をそろえる必要があります。ヨウコさんは、2人が恋愛関係にあると断定しているようです。その根拠として、ホテルに入ったという目撃証言があるそうですが、決定的な写真はありません。事実無根だと相手側が否定する可能性も想定するべきでしょう。

たとえば、上司と新入社員の2人が恋愛関係にあることを示す決定的な写真や、恋愛感情に基づいて一方的な業務の割り振りが行われていることを示す業務成績報告書、上司による不利益な取扱いを示す音声などを記録しておくなどの証拠を揃える必要があります」

●「環境型セクハラ」に該当する恐れも

他にも、上司の行動には何か問題点がないだろうか。

「今回の上司がしたような『えこひいき』は、性別に着目した言動や性的な言動を伴うことがよくあります。たとえば『●●ちゃんは女の子なんだから譲ってあげてよ』とか『●●はもう若くないんだから、この仕事には向かないよね』などです。その結果、労働者の就業環境が害されるとして、上司の行為がセクハラに該当する可能性もあるでしょう。

これは『環境型セクハラ』と呼ばれるハラスメント行為で、ある特定の人・性別を対象にして就業意欲を低下させるような言動をすることや、性的な内容の情報を取引先などに流布させることなどを指します。また、社内にヌードポスターを掲示することも環境型セクハラに含まれます。今回のケースでも、上司が前述したような性的な言動を伴うなどして、職場の人たちが苦痛に感じて業務に専念できなければ、環境型セクハラともなり得るのです」

●配置転換や降格は?

もし、決定的な証拠をそろえた場合には、上司が恋人を「えこひいき」をしたことを理由に、配置転換や降格を求めることもできるのか。

「今回寄せられた相談内容だけでは、決定的な証拠もなく、噂話の域を出ないとも言えますので、判断は難しいところです。

しかし、事実関係を調査したうえで、私情による業務の不適切な配分によって部員の査定が著しく悪くなったと証明できたり、環境型セクハラに該当したりする場合には、上司の処分や状況の改善を人事に求めることができます。会社は、詳細な事実を調査したうえで、差別行為を是正し、他の社員が勤労意欲を害しないよう改善しなければなりません。具体的には、恋愛関係にある両者の職場を変更したり、管理職を降格させる等の措置が考えられます」

(弁護士ドットコムニュース)

鈴木 謙吾弁護士
慶應義塾大学法科大学院教員。東京弁護士会所属。
所在エリア:
  1. 東京
  2. 中央区
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