沖縄県那覇市のホテルで女性の遺体が見つかった事件で、米軍普天間基地に所属する海兵隊の上等兵の男性が強盗殺人容疑で逮捕・送検された。男性は「私は知りません」と容疑を否認しているという。
報道によると、女性は10月3日未明、ホテルの室内で首を絞められて死亡しているのが見つかった。
県警が防犯カメラの映像などを調べ、身体的特徴の似た男性を歓楽街で発見。職務質問を経て、10月4日未明に緊急逮捕した。
防犯カメラには、女性のリュックサックを持って1人で歩く男性とみられる人物が映っていたという。
沖縄ではこれまで、在日米軍関係者による事件が繰り返し起きてきた。では、米軍人が日本国内で重大事件を起こした場合、日本の警察や裁判所はどこまで捜査・裁判をすることができるのか。
また、今回逮捕された米海兵隊員には、どの国の法律が適用され、どの国の裁判所で裁かれることになるのか。元警察官僚で、刑事事件にくわしい澤井康生弁護士に聞いた。
●「公務中」か「公務外」かで大きく異なる
──在日米軍関係者が日本国内で重大事件を起こした場合、日本の警察や裁判所はどのように対応することになるのでしょうか。
在日米軍の軍人が日本国内で刑事事件を起こした場合、その刑事手続きは、犯罪が「公務中」に起きたものか「公務外」かによって大きく異なります。
まず、公務中の場合、日米地位協定17条3(a)により、米国が第一次裁判権を有しています。
そのため、日本の警察が基地外でその軍人を逮捕した場合には、ただちに在日米軍に身柄を引き渡さなければなりません。
一方、在日米軍の憲兵司令官が基地内でその軍人を逮捕した場合には、米国側で刑事手続きが進むことになります。
公務中の犯罪の場合、米国はその軍人を刑事訴追するかどうかを決定し、日本側に通告します。
米国側が刑事訴追しない場合、第二次裁判権を有する日本は、通告から30日以内に米国に対し、日本側による裁判権の行使に同意するよう要請することができます。
特に死亡事件などの場合には、米国は好意的考慮を払うものとされています。
一方、公務外で犯罪を犯した場合には、日本が第一次裁判権を有しています。
そのため、日本の警察が基地外でその軍人を逮捕した場合、日本の刑事訴訟法に基づいて刑事手続きが進められます。
つまり、日本人の容疑者と同じように、逮捕、勾留を経て、起訴されれば日本の裁判所で裁判を受けることになります。
これに対し、在日米軍が基地内でその軍人の身柄を確保している場合、日米地位協定17条5(c)に基づき、日本側が容疑者を起訴するまで、米国側が引き続き拘禁するものとされています。
ただし、殺人事件や不同意性交事件については、起訴前の段階で身柄の引き渡しを要請することができます。
外務省のホームページによると、これまで6件の要請のうち5件で、起訴前の身柄引き渡しが実現しています。
身柄引き渡しを受けた後は、日本の刑事訴訟法に基づき、勾留、起訴などの手続きが進められることになります。
●今回の事件は「日本の法律」で裁かれる
──今回の事件で逮捕された米海兵隊員は、どの国の法律、裁判所で裁かれることになるのでしょうか。
今回の事件は、在日米軍人がプライベートな時間に起こした公務外の犯罪です。また、日本の警察が基地外で逮捕した事案になります。
したがって、当初から日本の刑事訴訟法に基づき、逮捕、勾留、起訴などの刑事手続きが進められます。
起訴された場合には、日本の法律に基づき、日本の裁判所で刑事裁判を受けることになります。