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退職届を出したら給与カットされ、有給も取れなくなった! 会社の対応の法的問題
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退職届を出したら給与カットされ、有給も取れなくなった! 会社の対応の法的問題

退職届を出したら、給料が下げられているーー。そんな悲鳴のような投稿がインターネットの掲示板に書き込まれている。

投稿者は「ボーナスも4割以上カットされていた、有給も取らせないようなことを言っている」といい、労働基準監督署に電話して相談するそうです。

社員が退職届を提出した後、会社が給与カットすることに法的な問題はないのでしょうか。瀧井喜博弁護士に聞きました。

●給与もボーナスも同意なしに一方的にカットできない

給与カットは無条件にできるのでしょうか。

「会社が、従業員の給与をカットするには、従業員の同意を得なければなりません。そして、裁判例は、この同意の認定にあたって、かなり慎重な態度をとっています。なぜなら、従業員が会社からの有形・無形の圧力の中で、真意に基づかずに同意してしまったケースも充分考えられるからです」

ボーナスはどうでしょうか。

「ボーナスもこれと同様です。ただし、ボーナスには、給与とは異なり、従業員の会社に対する貢献度等の要素も加わって算定されるのが一般的です。そのため、算定方法に則ってボーナスの具体的な額が決まっていたにもかかわらず、これを一方的にカットするには、従業員の同意が必要です」

相談者は会社から有給も取らせないといったことを言われたそうです。

「従業員が6か月以上継続して勤務し、全労働日の8割以上出勤をした場合には、会社は、その従業員に対して、最低でも10日以上の有給休暇を与えなければなりません。これは、退職届の提出の有無にかかわらず行わなければならない会社の義務です。

今回の相談のケースでは、会社が、従業員が退職届を出した後、従業員の同意を得ないまま給与とボーナスを一方的に下げ、その上で有給休暇も取得させていません。そのため、これらの会社の行為は違法となる可能性があります」

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

瀧井 喜博
瀧井 喜博(たきい よしひろ)弁護士 弁護士法人A&P 瀧井総合法律事務所
「あなたの『困った』を『よかった』へ」がモットー。あらゆる「困った」の相談窓口を目指す、主に大阪で活動する人情派弁護士。自由と自律性を押し出す新しい働き方、楽しく成長し続けることができる職場環境として、「ブラック」でも「ホワイト」でもない「カラフル」な職場の構築、拡大を目指して、日夜奮闘中。

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