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過労死遺族「いよいよ先生の働き方にメスが入った」中教審部会の「緊急提言」に期待
中央教育審議会の特別部会後に記者会見を開いた内田良准教授(右から2番目)ら

過労死遺族「いよいよ先生の働き方にメスが入った」中教審部会の「緊急提言」に期待

中央教育審議会の特別部会が8月29日に東京都内で開かれ、学校における働き方改革について緊急提言が出された。これを受けて同日、過労死遺族らでつくる「全国過労死を考える家族の会」と教職員の働き方改革を目指す団体「教職員の働き方改革推進プロジェクト」が共同記者会見を行い、提言への期待や課題などを語った。

●タイムカードを活用して勤務時間を把握

中教審特別部会の緊急提言の内容は、以下の通り。(抜粋)

1、校長及び教育委員会は学校において「勤務時間」を意識した働き方を進めること

・ICTやタイムカードなどを活用して教職員の勤務時間を客観的に把握する

・教職員の休憩時間を確保する

・休養日を含めた部活動の適切な活動時間の設定を行う

・部活指導員の活用

・長期休暇期間に学校閉庁日を設定する

・管理職のマネジメント研修を充実させ、意識改革を図る

2、全ての教育関係者が学校・教職員の業務改善の取り組みを強く推進していくこと

・教育委員会は強い危機意識を持って、業務改善方針・計画を策定する

・給食費などの未納金の督促などを教員の業務としない

・事務職員を活用する

3、国として持続可能な勤務環境整備のための支援を充実させること

・部活動指導員やスクールロイヤーなどの配置

●学校現場は働き方改革についてまだまだ葛藤している

記者会見で、名古屋大大学院の内田良准教授は「今の学校現場は時間を管理するという感覚がない。タイムカードを導入して時間を測るという意識改革がすごく大事になってくる」と一定の評価を示した。また「学校現場は働き方改革について、まだまだ葛藤している状態。今回の緊急提言が改革に大事な役割を果たして欲しい」と期待していた。

学習院大の長沼豊教授は「今回提言には盛り込まれなかったが、残業の上限規制について引き続き訴えていきたい。また教員を増やすことも必要。現在の日本は教職員のサービス残業で教育王国として成り立っている」と指摘した。

全国過労死を考える家族の会代表の寺西笑子さんは「いよいよ先生方の働き方にメスが入ったという印象を持った。働き方を改善することで、学校職場で過労死、過労自死する人をなくしていきたい」。10年前に中学校教諭の夫がくも膜下出血により突然亡くなり、公務災害認定までに5年半を要した工藤祥子さんは「先生を死なせていいのかという強い思いが私の中にはある。勤務時間の把握も含めて、先生が働きやすい環境にしなくてはいけない」と話した。

(弁護士ドットコムニュース)

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