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「細かすぎる」「鬱陶しい」営業部門に嫌われる「経理部長」、金庫番としてのプライド
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「細かすぎる」「鬱陶しい」営業部門に嫌われる「経理部長」、金庫番としてのプライド

「これは経費では落とせません」「請求書にミスがあるので、もう一度送ってもらってください」。会社の経理部は、サラリーマンにとって、細かい粗探しをする煙たい存在かもしれません。

ネットでも、経理と営業は不仲だ、というような記事を見かけることがあります。営業には、お金を稼いでいるという意識があるため、細かくチェックを入れてくる経理が鬱陶しいのかもしれません。

経理担当、特に経理部長や経理課長といったマネージャー層は、どのような人物がふさわしいのでしょうか。佐原三枝子税理士に聞きました。

●経営者とは業務で使う脳の資質が違う

どんな小さい会社でも、現場、営業、管理、そして経営という機能は必要です。

創業したての頃は、社長が現場に行って、異業種交流会にも出て、経理もして、会社の行く末も考える、なんていうプレイングマネージャーでもいいかもしれませんが、忙しくなるとそうもいきません。ですから、管理部門である経理は、会社の成長の特に早い時点で、ほかの方にお願いすることが多いようです。

お金のことをお願いするのですから、やはり信頼でき、きちんとルールを守り、細かい作業も厭わない人、というのが必要最低限な資質だと思います。

アグレッシブに行動し、時にジャンプする思考が必要な営業や経営サイドの人間からは、ちょっと鬱陶しい存在になるのは仕方ないことでしょう。経営者が早々に経理を自分でしなくなるのは、業務で使う脳の資質が異なるからだろうと感じます。

経理は社長にとっての女房役とか、金庫番などと言われることがありますが、会社のキモの部分を知っているので、経理にはいい恰好はできません。いい恰好ができませんから、社長もつい愚痴を言ったり、本音の相談をすることもあります。口が堅い、というのも外せない資質だと思います。

●ITアレルギーで変化が嫌い、というのなら問題

とはいえ、どんなに信頼が厚くても、経理が経営にでしゃばってくるのを経営者は良しとしません。でしゃばらず、しっかり支える、という優秀な経理に恵まれることは、経営者にとって金のわらじを履くことになると思います。

ですが、会社が成長するにつれ、経理も成長する必要があります。会計や法務、様々な金融スキーム、新しいITなどを学習し続ける資質も必要となります。

経理は基本的には毎年同じことが繰り返されることが多いので、経理担当者には変化を喜ばない、というタイプが多いように感じますが、同じことが同じようにできるという資質は今後ITやAIに取って代わられる部分です。ですから、ITアレルギーで変化が嫌い、というのでは将来的には問題があると思います。

この変化の時代にあっては、時には経営者の戦略を実現するためスキームを構築し、銃後の盾となるくらいの働きが必要になる局面もあります。守りだけでなく、攻めの経理ができる人材の登場です。経営者の視点が高くなるとともに、経理もそれに即した人材を配置する必要性が出てくるのです。

とはいえ、まず誠実であること、そしてともに成長し、変化できる人材であれば最高だと思います。そう考えると、この基準はすべての人事にいえることかもしれません。

【取材協力】佐原 三枝子(さはら・みえこ)税理士・M&Aシニアスペシャリスト

兵庫県宝塚市で開業中。工学部やメーカー研究所勤務から会計の世界へ転向した異色の経歴を持つ。「中小企業の成長を一貫してサポートする」ことを事務所理念とし、税務にとどまらず、経営改善支援、事業承継や海外事業展開の支援を手掛けている。

事務所名 : 佐原税理士事務所

事務所URL:http://www.office-sahara1.jp/

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