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妊娠判明後に異動認めず無給休職命令…日本航空CAマタハラ訴訟、和解成立
日本航空キャビンクルーユニオンの古川委員長(中)と竹村弁護士(中右)ら

妊娠判明後に異動認めず無給休職命令…日本航空CAマタハラ訴訟、和解成立

妊娠判明後に地上勤務への配置転換を認めず、無給休職を命令した措置はマタハラに当たるとして、日本航空(JAL)の現役客室乗務員が同社を相手取り、休職命令の無効確認などを求めた裁判で6月28日、和解が成立した。和解内容には来年度以降、原則として申請者全員を産前地上勤務につける運用を行うことが盛り込まれた。

原告であるJALの現役客室乗務員・神野知子さん(42)は、2014年8月末に妊娠がわかった。同社の制度では、妊娠した客室乗務員は乗務ができなくなるため、すぐに産前地上勤務を希望した。しかし2008年に産前地上勤務制度が「会社が認める場合のみ」と変更されており、神野さんは同社から産前休職が発令された。

産前休職は、賞与の対象外になるだけでなく、勤続年数に算入されず、社外でのアルバイトも禁止され、収入の道を一切絶たれてしまうものだった。さらに社宅入居者は退去することになっていた。

和解成立後、同社の労働組合「日本航空キャビンクルーユニオン」の組合員らが司法記者クラブで記者会見を行った。原告側代理人の竹村和也弁護士によると、原告が産前地上勤務を申請した14年8月には客室業務員が4898人おり、そのうち99.8%が女性だった。

竹村弁護士は、「同社はその中で妊娠している女性は200〜300人がいるという概算を裁判の中で証言したが、産前地上勤務の枠を9枠しか用意していなかった。異常な事態だと分かった」と話した。

和解内容には、今後は産前地上勤務の配置先や配置人数、予定配置先などを開示することも盛り込まれた。

神野さんは「日本を代表する大手航空会社であり、女性が大半を占める職場から問題を解決することによって、日本全体からマタハラがなくなれば良いと思っています。2年前裁判を始めるのはとても勇気のいることでしたが、その時の私の想いと願いが叶い、心から嬉しく思っています」とのコメントを発表した。

JAL広報部は「会社の先進的な制度(他社にはない産前地上勤務制度)が和解で確認された。当社としては今後ともこの制度を率先して充実していきたいと考えている」と話した。

(弁護士ドットコムニュース)

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