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2013年07月01日 19時30分

「かけないで」と言ったのに・・・営業電話が何度もかかってきたら「業務妨害罪」?

「かけないで」と言ったのに・・・営業電話が何度もかかってきたら「業務妨害罪」?

仕事が忙しいときに迷惑なのは、勝手にかかってくる「営業電話」だ。携帯や固定電話のナンバーディスプレイに見知らぬ電話番号が表示されたとしても、新規の顧客かもしれないと思うと、その電話を無視するわけにはいかない。

保険や先物取引、ブロードバンドの勧誘や求人広告のお願いと、ありとあらゆる営業の電話がかかってくるが、「電話でのセールスは、一切お受けしてません」と断ったところで、相手もそれが仕事だからそう簡単には引き下がらない。その結果、こちらの仕事の手は止まってしまう。

はたして、業務妨害にならないのだろうか。好川久治弁護士に聞いた。

●刑法の「業務妨害罪」が成立するケースは極めてまれ

「一般にみられる勧誘セールス電話のレベルでは、刑法上の『業務妨害罪』が成立することは極めてまれといえるでしょう」

好川弁護士はこのように説明したうえで、その理由を付け加えていく。

「『業務妨害罪』にあたるには、業務を妨害する手段として、『偽計』(同法233条)あるいは『威力』(同法234条)を用いることが必要になります。

『偽計』とは、勘違いや不知を利用して、相手をあざむく、はかりごとです。たとえば、お店に何度も無言電話をかけて、業務を中断・停滞させるとか、頼んでもいない出前を注文するなどの行為が典型です。

また、『威力』とは、人の意思を制圧するような勢力を示すことで、電車の座席に画びょうをまくとか、お店の中で大声で怒鳴り散らして業務を停滞させる行為などが、これにあたります」

それでは、しつこい営業電話は「偽計」や「威力」にあてはまらない、ということ?

「相手の勘違いを誘ったり、あるいは相手を困惑させるような勢いを示したり、断っても再びかけてきて、長時間にわたり電話を切らせないというケースもあると思います。あまりにもひどい場合だと、『業務妨害罪』にあたるかもしれません」

●あいまいな返答をせず、キッパリと断わるべし

つまり、よほどの例外をのぞいては、刑法上の罪にはならないということだ。だが、そうは言っても、実際にしつこくかかってくる営業電話は業務に支障をきたすこともあると思うが・・・。

「セールスの勧誘電話に対しては、『今は時間がない』とか『いそがしいから』というような、あいまいな返答をせず、相手に業者名と用件をたずねて、キッパリ、『その件は必要ないのでお断りします』とこたえるべきでしょう」

好川弁護士はこのように現実的な対策をすすめる。そのうえで、法的なアドバイスも忘れない。

「消費者が希望しない勧誘や、いったん断ったあとの再勧誘、しつような勧誘などに対しては、各種法令で規制されています。たとえば、『特定商取引法』や『金融商品取引法』、『商品先物取引法』などです。各法令にもとづく苦情の申立てや行政処分を求めることを考えてもよいかもしれません」

筆者も、原稿の締め切りに追われているときなど、この手の勧誘電話にはいつもイライラさせられている。思い起こせば、好川弁護士が言うように、少しあいまいな返事をしていたのかもしれない。まずは、ビジネスライクに断わることから始めようか・・・・。

(弁護士ドットコムニュース)

好川 久治弁護士
1969年、奈良県生まれ。2000年に弁護士登録(東京弁護士会)。大手保険会社勤務を経て弁護士に。東京を拠点に活動。家事事件から倒産事件、交通事故、労働問題、企業法務まで幅広く業務をこなす。趣味はモータースポーツ。
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