女子高校生の接客を売りにする、いわゆる「JKビジネス」について、警視庁の有識者懇談会が5月下旬に報告書をまとめた。18歳未満の少女が働くことを禁止することなど、法規制の必要性を指摘している。
報告書では、JKビジネスの一部店舗では「裏オプション」と呼ばれる性的サービスがあると指摘。犯罪の温床になることを防止するため、18歳未満の少女が働くことを禁じたり、警察や行政が立ち入り検査できたりするよう、法規制が必要と提言した。
JKビジネスをめぐっては、各地で業者の摘発が相次いでいるが、取り締まりの根拠はさまざまだ。自治体の青少年保護育成条例、労働基準法、中には、興行場法という珍しい法律で摘発されたケースもあった。
リフレや見学など、新たな業態が生まれては、取り締まりが行われる「いたちごっこ」のような状態だが、現行法ではJKビジネスを適切に取り締まることは困難なのだろうか。困難だとすれば、どんな対策、法規制が必要なのか。わいせつ問題にくわしい奥村徹弁護士に聞いた。
●既存の法律では、取り締まりの効果が上がらなかった
「『JKビジネス』というのは、報告書では『主として女子高校生をして、マッサージ等を行わせたり、会話やゲームの相手をさせたり、屋外で客と一緒に散歩をさせるなどのサービスを提供する営業である』と一応定義されています。
報道によれば、2013年ころから顕在化したビジネスモデルで、風営法では18歳未満の就業が禁止されているところから、18歳未満を雇用しつつ風営法に列挙されている業態を巧みにかわそうとしている点が特徴です」
奥村弁護士はこのように指摘する。どういった点が問題視されているのか。
「就業自体の直接的な有害性というよりも、児童ポルノ・児童買春・淫行などの福祉犯の温床となっていて、匿名性が高く、当事者の特定が難しい点が問題視されていました。
そこで警察は、風営法違反、児童福祉法違反(有害支配)、労働基準法違反(危険有害業務の就業制限)、興行場法違反(無許可営業)など適用可能な法令を総動員して、執拗に検挙してきました。
しかし、いずれもJKビジネスを想定した罪ではないため必ずしも有罪に持ち込めるわけではなく、取締は効果を上げているようには見えませんでした。
そこで、報告書では『リフレ・散歩・見学・撮影・作業所・コミュ・カフェ・ガールズバー』というJKビジネス特有の業態について届出制とした上で、18歳未満の就業を禁止するなどの法的規制を提言しています。
同様の規制は、愛知県が青少年保護育成条例の改正(2015年7月1日施行)で実施しており、東京都も追随するものと思われます。
もともと規制の隙間を突こうとする業態であるため、一部自治体の条例で規制したとしても、当分の間は、規制地域外で営業するとか無店舗型にするとかで規制を逃れる動きが続くと思います」
奥村弁護士はこのように述べていた。