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会社指示でパソコン購入した社員「自分に家電量販店のポイントがついた」 業務上横領罪になるのか
左(Graphs / PIXTA)、右(ごんちー / PIXTA)

会社指示でパソコン購入した社員「自分に家電量販店のポイントがついた」 業務上横領罪になるのか

会社員が仕事で使う備品を購入する場合、会社の法人用クレジットカードで支払ったり、あるいは自分で立て替えたあとに清算することがあります。

会社からパソコンの購入を頼まれたという社員から「私がパソコンを購入した時、その家電量販店のポイントが私につきました。これって業務上横領罪になりますか?」という相談が、弁護士ドットコムニュースに寄せられました。

商品を購入する店やECサービスによっては、特定の「ポイント」がつくことがあります。

たとえば、10%のポイントが加算される店の場合、10万円のパソコンを買ったら、1万円がポイントとして戻ってきます。1万円もあれば、他にそれなりの家電製品が買えてしまうでしょう。

ここまで高額でなくても、ペンやノートのような備品を買って、ごくわずかのポイントを得るようなケースは、多くの人が経験しているのではないでしょうか。そして、ほとんどの会社では、目くじらを立てられるようなことはないと思われます。

会社のお金で購入して得たポイントを自分で使ってしまえば、業務上横領罪などの罪に問われる可能性はあるのでしょうか。刑事事件にくわしい元検事の大泉まどか弁護士に聞きました。

●業務上横領罪に当たる可能性はある

——会社の指示でパソコンを購入して、家電量販店のポイントが自分についたケースで、そのポイントを私用で使った場合、罪に問われる可能性はあるでしょうか

結論から言うと、業務上横領罪に問われる可能性はあります。法定刑は10年以下の懲役です。

業務上横領とは、「業務上自己が占有する他人の物を横領すること」をいいます。

わかりやすい例としては、仕事で(=業務上)自分が会社のお金を管理している場合に(=自己が占有する他人の物)、そのお金を使い込んでしまう(=横領)というケースです。

ここでの「他人の物」については、お金に限りませんので、ポイントであっても、「他人のポイント」といえるのであれば、横領の対象となります。

——では、他人のポイントといえる場合というのは?

たとえば、会社の就業規則などで、「会社の備品購入の際に付与されたポイントは会社に帰属する」といった規定がある場合は、たとえ自分のポイントカードについたポイントであっても、会社のものということになります。

この場合に、そのポイントを勝手に使ってしまうと、会社のものと決まっているポイントを勝手に使用したということになりますので、業務上横領罪に問われる可能性があります。

また、自分の作ったポイントカードではなく、会社が作ったポイントカードであれば、付与されたポイントは、そもそも会社のものということになるので、ポイントを勝手に使ってしまうと、業務上横領罪に問われえます。

——その他に注意すべきことはありますか

ここまでは法的な観点から「会社の備品購入の際に付与されたポイントを使用する」という行為について検討しました。しかし、業務上横領罪に該当しない場合であっても、それが必ずしも「正当な行為」ということではありません。 

社内では、そのような行為を問題と捉えることもあるでしょうし、金額や頻度によっては、意図的な行為として、会社から何らかの処分が下される可能性は十分にあります。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

プロフィール

大泉 まどか
大泉 まどか(おおいずみ まどか)弁護士 東京スタートアップ法律事務所
慶應義塾大学法学部法律学科卒業。北海道大学法学研究科法律実務専攻修了。検事任官、検察庁にて5年間執務ののち退官。2023年の弁護士登録以降は法律事務所にて執務。2024年1月東京スタートアップ法律事務所に入所。検事時代から培った傾聴力、説得力、情報処理能力を活かし、現在は刑事事件にとどまらず、一般民事事件、企業法務事件など幅広く活躍中。

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