無差別殺人を計画したとして、富山県の男性(53)が殺人予備の疑いで逮捕された事件。
実際に計画が実行に移されていたかどうかは誰にもわからない。
しかし、男性が管理していたとみられるブログを読み進めると、病気や生活困窮に苦しむ姿とともに、社会や他者への憎悪を強め、「無敵の人」へと傾いていく過程が記されていた。(弁護士ドットコムニュース・一宮俊介)
●月末は「絶食」、電気止まり「スマホ充電」にも苦労
男性は事件前、東京都の大友秀逸さん(50)に犯行を示唆するメッセージをXで送り、大友さんが警察に通報したことで、凶行は未然に防がれた。
男性のものとみられるXアカウントには、ブログへのリンクが数多く投稿されており、自身の病気や生活保護を受給している状況について繰り返しつづっていた。
2026年5月には、生活費が底をつきかけている状況をつづっている。
<残金5000円と半分チョイ 今迄の1日1食から2〜3日に1食でナントカ半月 残りは又絶食だねぇ>
生活苦は以前から続いていたようだ。
2023年12月には、自宅に電気が通っておらず、スマートフォンの充電にも苦労している様子を記し、
<正⽉開いてて電源有る所(充電可な所)はマックぐらいか?>
と嘆いていた。
大友秀逸さん(2025年9月、東京都内で、弁護士ドットコムニュース撮影)
●膨らむ「被害妄想」と「殺意」
ブログを読み進めると、生きることへの絶望だけでなく、他者への加害願望を示す記述が目につくようになった。
2025年11月には、外で親子連れや学生を見かけるだけで、激しい被害妄想と殺意にとらわれるようになった様子をつづっている。
<『テメェと違って俺らは将来バラ色ダゼェ、ヒャッハー(笑)』 『お前みたいな屑はさっさとタヒねヤァ(笑)』 と言われてる錯覚をおぼえ、 つい その眼球に人差し指と親指を叩き込み抉り出し その首両側面を果物ナイフで滅多刺し 刃を横水平に倒し、両肋骨の隙間から胸を滅多刺し したくなる>
さらに社会への復讐を思わせる言葉も残している。
<案外、『無敵』になるのも面白いかとも思うが・・・>
2025年11月のブログには、見知らぬ人への強い殺意がつづられていた。
●自宅の訪問者にも殺害をシミュレーション
殺意は、日常の場面にも向けられていたようだ。
2025年12月には、自宅に電気関係の点検員が訪れた際のことを次のように記している。
<⼀応マッパだったのを素早く服を着て刺針代わりの⽊の箸と果物ナイフ2つ忍ばせてたが 本物の電気保安協会の⼈だったみたいなんで必死に殺意を押し殺して⽴ち会い帰ってもらった 偽物なら速攻で動けず抵抗出来なくなる部位を刺して引き込んだ後 時間をかけて 時間をかけて嬲(なぶ)って嬲って縊(くび)り殺せたのに あぁ、イライラで今にも爆発したい この、⾷えず飲めぬ飢餓の苦しみを 徹底的にクソ屑共に叩き付けたくて仕⽅ない>
行政や政治に対する憤りも強く、2023年11月には、岸田文雄内閣(当時)の支持率に関するニュースを引用して、過激な言葉を書き込んでいた。
<テメェらダケに都合良く、国民を苦しめる事しかせずに 何が「悪いことしてないのに・・・・・」だ 殺すぞボケがぁ>
逮捕された男性がXで大友さんに連絡してきた投稿(一部を加工しています)
●「人間50年」凶行に向けたカウントダウン
ブログには、見知らぬ人たちを道連れにして死ぬことを望むような記述も残されていた。
<しょせん、人間50年と昔から思って来たし、病や怪我で心身共に弱り果ててベットの上で死ぬならば 正々堂々闘って、思う存分一人でも多く道連れに屍山血河を築きたい、 と 男なら思うのが普通>
2026年5月には、生活保護が減額されたことに触れたあと、具体的な犯行を思わせる内容も投稿していた。
<ハァ、いっそバァ〜と楽しく全力で死ぬまで戦ってみるも一興か まぁ、現状の体⼒+武器が果物ナイフぐらいしか無い現状だと 精々、数匹 良くて⼗匹+警◯1〜2匹はチョッとキツいか? まぁ、⽣きて◯まらない前提だから結構なムチャも出来るとは思うが 殺るか殺ら無いか微妙なトコろ>
2023年8月のブログには、「ベッドの上で死ぬなら、一人でも多く道連れに屍山血河を築きたい」と書かれていた。遅くとも3年前から他者への「殺意」を持っていたようだ
●通報なければ…「無敵の人」の背景に目を
これらの書き込みが逮捕された男性本人によるものだとすれば、この2カ月後、「片道切符」で東京へと向かおうとしていたことになる。
もし、大友さんが警察へ通報していなければ──。その先に何が起きていたのかは誰にもわからない。
今回、最悪の事態は避けられたものの、社会から取り残される人たちの背景に目を向けない限り、「無敵の人」は生まれ続ける。