「上司がキモすぎて早く会社辞めたい」。上司から届いたメッセージの写真とともに投稿されたツイートが話題となっています。
投稿された写真を見ると、「ホテルなんだけど2部屋空いてなくて最悪同じ部屋になっちゃうけど大丈夫?」「おれはかまわないけど、⚪︎⚪︎さんがよければ」と書かれたメッセージが届いています。
さらに「会社的にもこの間の⚪︎⚪︎さんの件で経費削ってうるさいからさ」とあり、女性はツイートで「なんで会社の経費削る代わりに私が魂削らなきゃいけないんだよ」と怒りをあらわにしています。
弁護士ドットコムの法律相談にも、男性上司と2人で出張に行く際に「部屋の空室が一室しかなく、出張予算も限られているため、同室になると伝えられました」という女性からの相談がありました。
出張などで上司と同じ部屋に泊まるというのは信じがたいものですが、このような出張命令を出した男性上司は、法的に問題ないのでしょうか。大木怜於奈弁護士に聞きました。
●セクハラにあたる可能性が高い
——男性上司のメッセージは法的に問題ありませんか?
周辺で大きなイベントなどがない限り、通常は、近隣のホテルすべてに空室がないという事態は考えられないでしょう。
男性上司が同室で宿泊するという業務命令を出したことは、職場においておこなわれる労働者の意に反する性的な言動といえます。
労働者の就業環境が不快なものとなり、就業するうえで看過できない程度の支障を生じさせるとして、セクハラにあたると判断される可能性が高いでしょう。
——相談者はこのような出張命令を拒否しても問題ないですよね?
そもそも、会社の出張命令は「業務命令」ですので、従業員が正当な理由なく拒否すると、業務命令違反として、懲戒処分を受けるリスクがあります。
ただ、業務命令であれば「常に有効で適法」となるわけではなく、契約上の根拠がない場合や、会社の業務命令権限の濫用にあたるような場合には、業務命令が「違法で無効である」とされることがあります。
そして、従業員は、違法で無効な業務命令に服従する義務を負うことはありませんので、このような違法で無効な業務命令を拒否することには、正当な理由が認められます。したがって、業務命令違反とはならず、懲戒処分を受けることにはなりません。
——女性は、部屋の空室が一室しかないことや出張予算が限られているため、男性上司と同室で宿泊すると伝えられたそうです。
通常、近隣のホテルすべてに空室がないという事態は考えられませんし、また、経費削減の必要性があるからといって、異性の上司と同室で宿泊させてまで経費を削減することの合理性までは認められないでしょう。
そのため、男性上司と同室で宿泊することを内容とする業務命令は、違法で無効であると考えられます。そして、このような業務命令を拒否しても、業務命令違反として、懲戒処分を受けることはまずないでしょう。