サッカーのワールドカップ北中米大会は決勝トーナメントが始まり、日本代表は日本時間6月30日午前2時、ブラジルとの決勝トーナメント1回戦にのぞむ。
日本は1勝2分けの無敗でグループリーグを2位通過。「史上最強」とも期待されるチームの躍進に、ベスト16進出への期待は高まっている。
大会が盛り上がる中、友人同士や職場で「優勝国当て」や「日本はどこまで勝ち進むか」といった予想ゲームを楽しむ人も少なくない。
「外した人が焼肉をおごる」
「参加費1000円を集めて、当たった人が総取りする」
こうした予想ゲームは、法律上問題ないのだろうか。
●参加費を集めて総取りは「賭博罪」の可能性
刑法の賭博罪は、偶然によって勝敗や結果が決まる事柄について、財物や財産上の利益を賭け、その勝敗によって財物や利益の得喪を争う行為を処罰するものだ。
サッカーに詳しい人が予想したとしても、試合結果や優勝国を確実に当てることはできない。
法律上は「偶然性」がある出来事と考えられるため、こうした予想に金銭を賭ければ、賭博罪が問題になる可能性がある。
たとえば、参加者がそれぞれ1000円を出し合い、優勝国を当てた人が全額を受け取るような仕組みは、典型的に賭博と評価される可能性が高い。
●ランチやビールのおごりなら?
もっとも、刑法には例外規定がある。
「一時の娯楽に供する物」を賭けた場合には処罰しないとされているのだ。
たとえば、その場で消費する飲食物だ。
そのため、飲食物そのものを賭けたり、その場で一緒に消費するランチやビール1杯程度をごちそうしたりする場合は、「一時の娯楽に供するもの」にあたり、例外に該当すると考えられている。
なお判例上、金銭は原則として「一時の娯楽に供する物」にはあたらないとされており、少額の現金を賭けたケースでも賭博罪の成立が認められている。
●高級焼肉や商品券は要注意
ただし、話はそれほど単純ではない。
「一時の娯楽に供する物」にあたるかどうかは、賭けた物の価額だけでなく、その場で消費する性質のものかどうかや、当事者の財産状況、社会通念などを踏まえて判断される。
判例は、金銭について例外を認めることには慎重であり、高級焼肉店での飲食代や商品券、現金同様の価値を持つものを賭ける場合は、「一時の娯楽」の範囲を超えるとして賭博罪が問題となる可能性が高い。
●「みんなでやっているから大丈夫」とは限らない
ワールドカップ観戦を盛り上げるための優勝国予想は楽しい。
しかし、「職場の企画だから」「みんながやっているから大丈夫」といって、直ちに問題がないとは限らない。
ワールドカップを楽しむ際には、どこまでが単なる娯楽で、どこからが賭博として問題になり得るのか──。その境界線は知っておきたい。