結婚式に招かれたときに準備する「ご祝儀」をめぐり、まさかのトラブル勃発です。披露宴後に新郎新婦から「ご祝儀の中身が空っぽだった」と言われた男性が、弁護士ドットコムに相談を寄せました。
●【相談】友人から「ご祝儀払え」と言われた
先日、友人の結婚披露宴に出席し、ご祝儀を3万円包んで受付係に渡しました。後日、結婚式をあげた友人から「ご祝儀の中身が空っぽだった。ご祝儀払え。3万でも1万でもいいから」と催促されました。
参列した結婚式は会費制ではありません。お金を入れる際、家族の目の前でご祝儀袋に入れたのを目視し、確認しています。私には支払う義務があるのでしょうか?
●ご祝儀に法的な支払義務はない(回答・鬼沢健士弁護士)
まず、ご祝儀に法的な支払義務はありません。
一般的に披露宴は招待状をもらい、それに応じて参加する申し込みをしているはずです。この際、地域によっても異なるようですが、多くは披露宴の招待状に「3万円の参加費をお持ちください」などとは書かれていないはずです。
あくまでもお祝いしたいという気持ちから、贈与としてご祝儀を渡したはずです。そこで、お祝いしたい気持ちがあってもご祝儀として贈る義務があるわけではありませんので、たとえ祝儀袋の中身が空っぽだったとしても支払う必要はありません。
しかし、「法的にご祝儀を支払う義務はないはずだ」とそのまま言ったところで友人は納得しないでしょうし、友人を怒らせるだけでしょう。
法律は社会の秩序を保つための最低限のルールであり、人間関係を円滑にするためのルールではありません。法律から導かれる結論を貫くことが、友人との関係を円満に保つためには必ずしもいい結果になるとは限りません。
ご相談の状況からすると、「相談者は確かに祝儀を入れた。そして見ている人もいる」、他方で「友人は祝儀を受け取っていないと言っている」、また結婚式に招待し出席するような間柄ですから「受け取ったにもかかわらず受け取っていないというウソをつくことも考えにくい」わけです。
そうすると、相談者が入れた3万円は何らかの理由で友人に渡っていない(と思っている)といえそうです。
そこで相談者さまとしては、事情を説明した上でご祝儀総額の再計算をしてもらうとか、確かに祝儀を入れたことを丁寧に説明して追加で若干額を贈るといったような解決策を考えた方がいいでしょう。