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「コロナだから結婚を自粛しろ」婚約者は保健所勤務、上司がまさかの反対
(EKAKI / PIXTA)

「コロナだから結婚を自粛しろ」婚約者は保健所勤務、上司がまさかの反対

コロナだから結婚を自粛しろ——。職場で婚約者が上司からまさかの発言をされたという相談が弁護士ドットコムに寄せられました。

●【相談】上司の許可がないと結婚できない?

婚約者の職場の上司から結婚の許しをいただけず、結婚ができません。

婚約者は保健所で働いています。結婚を許してもらえない最初の理由は、「コロナだから自粛しろ」でした。

その後、婚約者はコロナによる激務によりパニック障害になりました。その結果、コロナの感染者が減ったあとも「パニック障害で周りに迷惑をかけているのだから」と結婚を認めてもらえません。

結婚を強行しようとも考えましたが、日頃から圧力をかけられ、パワハラが怖くてできません。行政の職員相談窓口にも相談しておりますが、動いてもらえません。

行政の職員は、上司の許可がないと結婚できないのでしょうか。

●【回答】上司の許可を得る必要はない(山口政貴弁護士)

日本国憲法第24条第1項には「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立」するという規定があります。結婚は結婚しようとする男女の意思だけで成立するものであり、他の条件は必要ないという意味です。

ですので、結婚に際して職場の上司からの許可を得る必要など全くありません。行政の職員であっても保健所の職員であっても全く関係ありません。

また、結婚を認めない理由としてパニック障害になったことを挙げていますが、パニック障害になったことと結婚とは全く関係ありません。

仮に上司の許可なく結婚したことによって、何らかの不利益や処分を受けるようなことがあれば、そちらの方が問題です。

とはいうものの、パワハラ上司に無断で結婚して、さらにパワハラがひどくなるという懸念を抱くこともある意味当然かと思います。

そのような場合は、後でパワハラ上司のパワハラの事実を証明できるように、パワハラ上司の言動をしっかりと記録しておくなど自衛手段を取る必要があるでしょう。

プロフィール

山口 政貴
山口 政貴(やまぐち のりたか)弁護士 神楽坂中央法律事務所
サラリーマンを経た後、2003年司法試験合格。都内事務所の勤務弁護士を経験し、2013年に神楽坂中央法律事務所を設立。離婚、婚約破棄等を専門に扱っており、男女トラブルのスペシャリストとしても知られる。

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