「会社の寮や社宅に入っていて解雇されても住める場合がある」一体その理由は?
太田弁護士のツイート(https://twitter.com/shin2_ota/status/1462265606602780679)

「会社の寮や社宅に入っていて解雇されても住める場合がある」一体その理由は?

「会社の寮や社宅に入っていて解雇された場合、すぐに出ていかないようにしてください。 そのまま住める場合もあります」。こう呼びかけるツイートが11月21日、話題となった。

ツイートしたのは、生活保護問題にくわしい太田伸二弁護士。「ホームレス状態になると解決の難易度が上がります。退去する前に弁護士などに相談してください」と話している。

こうしたトラブルは少なくないようで、弁護士ドットコムにも相談が寄せられている。

アルバイト先の社宅に住んでいたという女性は、ある日解雇を言い渡され、その日のうちに「出ていってくれ」と鍵を取り上げられ入れない状態になった。「解雇理由は、自分に非があることは重々承知ですが当日に言われ、住まいも失い現在ネットカフェに寝泊まりしている」と訴えている。

また、突然社長から「解雇する」と言われ、会社名義で借りているアパートをあと5日で出ていくよう求められた、という相談もあった。

はたして、会社から突然解雇を言い渡され住まいも追い出されそうになった場合、どのように対処すれば良いのだろうか。太田弁護士は「会社から社宅や寮を借りている場合、月々支払わなければならない利用料がどのくらいの金額であるかによって、解雇された後の対処方法が違ってきます」と説明する。

以下、太田弁護士に詳しく聞いた。

●雇用契約と賃貸借契約は別の契約

——利用料が周辺の家賃相場に近い金額だった場合はどうなりますか

会社と従業員の間の社宅や寮の利用契約は、賃貸借契約だと判断されます。賃貸借契約を解除できるのは、例えば賃料の支払いを数カ月間にわたって滞納するなど、貸主と借主の間の信頼関係が破壊されたといえる状況に至った場合です。

この点、雇用契約と賃貸借契約は別の契約ですから、「従業員として解雇した」ということだけで、そのまま「信頼関係が破壊された」と評価することは通常できません。もっとも、「使用者に暴力を振るった」など、よほどの事情がある場合には別の判断がなされる可能性はあります。

契約解除以外の方法で会社が退去を求めるには、借地借家法に基づいて賃貸借契約の解約を申し入れる手続が考えられます。ただ、この場合でも明渡しまでに6カ月の猶予期間が設けられています。

そのため、解雇をされたとしても当面は賃貸借契約が存在しているので、住み続けることができるのです。

●解雇が違法といえる事情があるか?

——社宅や寮の利用料が無料かあるいは相当低い金額である場合はどうでしょうか

賃貸借契約ではないと判断され、解雇されれば社宅や寮を利用する権限が無くなってしまいます。

しかし、解雇が無効であれば従業員の地位を失わないので、社宅や寮を利用する権限も無くならないことになります。そこで、解雇が違法といえる事情があれば、それを主張して住み続けることが考えられます。

なお、以上の判断は、社宅や寮が会社の所有する建物であるか、借り上げた建物・部屋であるかによって変わるものではありません。

——解雇が違法になる場合とは?

様々ありますが、例えば、有期雇用契約の期間の途中に「やむを得ない事情」が無いにもかかわらず解雇した場合がその一例として挙げられます。

この「やむを得ない事情」は、正社員を解雇する場合に要求される「客観的合理性・社会的相当性」よりも高度なものが必要とされています。ですから、雇用期間途中での解雇は違法と判断される場合が多いのです。

いずれにしても、解雇をされた後に社宅や寮に住み続けるとすると、会社からの退去を求める圧力は高まります。そういった圧力に抵抗するため、また解雇が無効かどうかを判断するためにも、弁護士に相談をしてもらいたいと思います。

●生活保護の利用も

——会社から解雇された場合は収入が途絶えてしまいますが、どうすれば良いのでしょうか

解雇を争いながら、会社の社宅や寮に住み続けることに精神的負担を感じることもあるかもしれません。そのような場合には、生活保護を利用して、転居をすることが考えられます。

厚労省の出している通知では、生活保護を受けている人が「退職等により社宅等から転居する場合」には転居費用を給付できるとされています。

ここでいう「転居費用」には、敷金のほか礼金や不動産仲介手数料、火災保険料などが含まれます。また、引っ越しのための荷物の運搬費も別に支給されます。

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