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「少しでも格差縮めて」非正規の賞与・退職金めぐる訴訟、最高裁判決は10月13日に…大阪医科薬科大事件、メトロコマース事件
メトロコマース事件の原告(4人のうち上告が受理されたのは左の疋田さん、加納一美さんの2人)

「少しでも格差縮めて」非正規の賞与・退職金めぐる訴訟、最高裁判決は10月13日に…大阪医科薬科大事件、メトロコマース事件

正社員には支払われる賞与や退職金などが支払われないのは違法だとして、非正規労働者が職場を訴えた「大阪医科薬科大事件」と「メトロコマース事件」の上告審で、最高裁の弁論が9月15日にあり、結審した。判決はいずれも10月13日に言い渡される。

待遇格差は正社員に対する「長期雇用のインセンティブ」などと使用者が主張するのに対し、原告らは「賞与と退職金が大きな格差を生み出している」などとして、格差是正を訴えている。

有期雇用であることを理由とした不合理な格差を禁じた「旧労働契約法20条」をめぐる裁判では、扶養手当などの格差が争われている「日本郵便事件(東京・大阪)」の判決も10月15日にある。

●「自分はもらえないのに…」正職員にボーナス明細配る

大阪医科薬科大事件は賞与について争っている。原告は、秘書として勤めていた元アルバイト職員の女性。担当する教授らの数は正職員よりはるかに多かったのに、賞与等がなく、年収に大幅な差があったなどとして提訴した。

一審では完全敗訴だったが、二審では賞与について、正職員の支給基準の60%は必要など、一部で逆転判決が出た。弁論後、女性は次のように話した。

「ボーナスの明細を正職員に配っていました。自分はもらえないのに…。賞与支給日に下を向いていた非正規労働者も一緒に笑いあえる社会であってほしい。賞与が少しでも認められれば、少しは格差も縮まるのではと期待しています」

●正社員の「4分の1」の価値しかないのか

退職金を争っているのは、東京メトロ(地下鉄)の子会社で、売店を運営するメトロコマースの元契約社員たちだ。

正社員と同じように売店業務に従事していたが、退職金はゼロだった。一審では棄却されたものの、二審は正社員と同一の基準で算定した額の4分の1は必要とした。

原告側によると、同社では中途採用がほとんどで正社員の平均勤続年数は10年に満たないという。原告のひとり、疋田節子さんは弁論後、「10年7カ月勤めた。我々の価値は正社員の4分の1しかないのか」と声を強めた。

「4分の1」という数字の合理的な説明がないなどとして、正社員と同じように支払うべきだと訴えている。

なお、この2つの裁判では、いずれも基本給の格差是正も訴えてきたが、この部分については上告が受理されず、合法とする下級審の判断がすでに確定している。

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