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熊谷6人殺害「私はまだあきらめたくない」 1審死刑も無期確定へ…遺族が悔しさにじませ
記者会見で悔しさを語る遺族の男性(右/2020年9月15日、東京都内、弁護士ドットコムニュース撮影)

熊谷6人殺害「私はまだあきらめたくない」 1審死刑も無期確定へ…遺族が悔しさにじませ

5年前の2015年9月、熊谷市内で住民6人を殺害したとして、ペルー人の男性が強盗殺人などの罪に問われた裁判で、最高裁第1小法廷(山口厚裁判長)は9月9日付けで上告を棄却した。無期懲役とした2審判決が確定することになる。

この事件で、妻と小学生の娘2人を亡くした加藤さんが9月15日、東京・霞が関の司法記者クラブで会見を開き、「司法はもっと人としての感情を理解してほしい」「最高裁に上告しなかった検察への怒りは強い」と悔しさを噛み締めるように語った。

刑が確定するのは、ペルー人のナカダ・ルデナ・バイロン・ジョナタン被告人。2015年9月、金品を奪う目的で熊谷市の住宅3軒に侵入した。加藤さんの妻や娘のほか、6人を包丁で刺すなどして殺害した強盗殺人などの罪に問われていた。2審の東京高裁が、1審(さいたま地裁)の死刑判決を破棄し、心神耗弱を認めて無期懲役を言い渡していた。

●遺族「司法って何なのだろう」

会見で、加藤さんは事件から5年を迎える現在の心境や、そして司法に対する不信感をあらわにした。

「明日(16日)で丸5年です。毎年9月16日が近づくと、当時の記憶が蘇ってきます。悲しみは5年前と同じで、悲しさや苦しさは変わりません。判決にも気持ちの整理がつかない状態で、改めて、司法って何なのだろうなと考えさせられました」

「人間の原点って何なのだろうと。司法は頭のいい人たちが勝手に作った制度であって、私の立場になって、こういう判決(無期懲役)をうけたときに『はい、わかりました』といえる人がいるのか。裁判って、被害者と加害者は平等ではない。裁判で、被害者はみられていないと思った」

「私はまだあきらめたくないです。こんなやり方で判決がでたことについて、納得がいかないですよね。あらためて裁判長に質問したいくらいです。今からでもいいので説明してくださいと問いかけたいですね」

●代理人「被害者に上告権を与えて欲しい」

被害者側が何度も口にしたのは、控訴審で、死刑が無期懲役にひっくりかえった後、上告しなかった検察に対する怒りだ。

「上告することはできたはずで、しなかったことは裏切られたという思いがある。理由もなかったので整理もできないし、納得もできないです。今後も自分なりに考えて、このままで終わらせていいのかなと心の中で揺れ動いている」(加藤さん)

「裁判員裁判で死刑判決がくだされながら、控訴審では3名の裁判官だけで、原判決を破棄して良いのか。このような杜撰な対応が続くなら、死刑相当事件では控訴審もフランスと同じように裁判員裁判にするべき。しないなら(今回の事件のように)被告人は上訴しても、検察官が上訴しないときは、被害者参加人に上訴権を与えてほしい」(被害者参加弁護士の高橋正人弁護士)

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