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渋谷の映画館「アップリンク」の元従業員5人が提訴 「社長からパワハラ受けた」
記者会見の様子(2020年6月16日/弁護士ドットコム撮影)

渋谷の映画館「アップリンク」の元従業員5人が提訴 「社長からパワハラ受けた」

東京・渋谷や吉祥寺などで映画館を展開したり、映画配給をおこなっている「アップリンク」の代表から、日常的にパワハラを受けたとして、元従業員の男女5人が6月16日、代表とアップリンク社など3社を相手取り、損害賠償をもとめる訴訟を東京地裁に起こした。

原告5人のうち4人は、浅井隆代表とアップリンク社など会社側に対して、1人あたり165万円、原告の1人は会社側に対して100万円の損害賠償をもとめている。この日の提訴後、原告4人と代理人が都内で会見を開いて明らかにした。

会社側は、弁護士ドットコムニュースの電話取材に「訴状が届いておらず、会見内容もわかっていません。訴状が届き次第、ホームページ上でコメントを出します」とした。

●「映画館利用客の前で叱責された」

原告代理人によると、次のようなパワハラ例があったという。

・休日返上の業務中に、猫カフェに一緒に入店するよう求められ、業務とは無関係に2時間も拘束された

・従業員に対して「精神疾患者を雇った俺がおかしかった」と発言

・浅井氏が落とした物を浅井氏自身が拾うことができるにもかかわらず、従業員に拾わせる

・アップリンク従業員、映画館利用客、他社の従業員の前で叱責

・従業員に対して「怒鳴られる側が悪い」との発言

●「心身に不調をきたすようになった」

原告の浅野百衣さんは会見で「入社した日から退職する日まで、暴力的な発言、待遇によって、私や同僚が傷つけられる場面に何度も直面してきました」「社内に響く浅井社長による暴言には耐えることができず、会社に行く途中も足がすくみ、電車を降りたこともあります」と話した。

錦織可南子さんは「浅井氏による度重なるパワハラにより心身に不調をきたすようになりました」「被害は私の身だけに降りかかったものではありません」「アップリンクに魅力を感じて入社した人が、浅井氏のハラスメントによって深く傷つき、やめていく姿を何度も目にしてきました」と訴えた。

原告の1人で、劇場運営スタッフだった清水正誉さんは会見で、新型コロナ下でミニシアターの存続が危ぶまれていることに触れながら、「裏切り者」とレッテルを張られる不安もあったが、「存続の危機に陥っているからといって、ハラスメントが許されるわけではない」と語った。

原告代理人の馬奈木厳太郎弁護士は「1人2人に対するパワハラを超えた会社全体の問題として考えないといけないほど深刻だった」「雇用条件や契約関係について理解がなく、労使関係にある自覚が弱い」「使用者は労働者の全人格を支配できるわけではない」と述べた。

なお、原告はこの日、アップリンクの元従業員を対象にした被害者の会を立ち上げた。

被害者の会のサイト
https://uwvah2020.wixsite.com/mysite

●浅井代表「不適切な言動があったことを深く反省し、謝罪致します」(追記2020年6月16日20時40分)

アップリンク社は16日夜、浅井代表の名義で次のような声明を出した。

「元従業員の方々から訴訟を提起されたことに関して、真摯に受け止めております。不適切な言動があったことを深く反省し、謝罪致します。本件の解決に向けて、誠意をもって対応をして参ります。社としてもハラスメントの再発防止に努めていく所存です。改めて詳細なコメントを発表します。少々お時間をいただけますようお願い申し上げます」

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