同人活動をしていたら、勝手に給料を減らされた−−。先日、こんな内容のつぶやきが、ツイッター上で話題になりました。
投稿内容によりますと、投稿者は、その月の給料が少ないことを疑問に思って、職場の上司にメールを送りました。すると、上司から「君副業してるから給料ちょっと減らしたよ」という回答が返ってきたそうです。
ただし、上司が指摘している副業というのは、「コミケやその他の同人活動のこと」でした。投稿内容の真偽は不明ですが、本当ならびっくりですね。法的に問題ないのでしょうか。山田智明弁護士に聞きました。
●「就業規則の定めがない場合、一方的に給料を減額するのは無効だ」
--副業していたら、給料を勝手に減らされても仕方がないのですか?
使用者(会社)は、労働者(従業員)の同意なく、一方的に労働契約の内容を変更することは、原則としてできません。
就業規則で「減給の制裁」を定めている場合は、減給できる場合があります。ただし、減給額は、労働者の生活保障のため制限があります(労働基準法91条)。
そのような就業規則上の定めがない場合、労働者の同意なく一方的に給料を減額とすることは無効です。労働者は、差額分の給料を請求することが可能です。
--会社に届けていなかったり、就業規則に反するような場合はどうでしょうか?
厚労省が公開している「モデル就業規則」では、「副業の届出」が義務付けられています。また、副業の許可制(旧・モデル就業規則)も、競業会社への副業など、背信行為防止や長時間労働防止のための副業禁止を認めている裁判例からすると、ただちに違法とはいえません。
そのため、就業規則に反して、懲戒処分として減給処分が相当と認められる場合には、減給が適法となります。
--どのような基準があるのですか?
懲戒処分としての相当性ですが、労働者の勤務時間外の行為については、「私生活の尊重」や「職業選択の自由」との兼ね合いで厳格に判断されます。単に、就業規則違反だからといって、減給が認められるわけではありません。
就業規則違反となる「無届け」や「無許可の副業」といった形式的判断だけではなく、副業を禁止する合理的理由(競合他社への副業等の背信的行為の防止や副業による長時間労働の防止など)があるかどうかといった実質的判断が加味されることになります。
そのうえで、懲戒処分の中で、減給処分が相当か否かが判断されることになります。