「女性の部下と1泊2日の出張を予定していたところ、上司から『異性同士の宿泊出張だから』という理由で却下された」
そんなThreadsへの投稿がこの夏、話題となりました。
投稿者の男性によると、宿泊先はシングルルームを2部屋予約し、さらに部下とは別フロアになるよう手配していたにもかかわらず、異性同士であることを理由に出張そのものが認められなかったといいます。
投稿者は「このような取り扱いは普通なのでしょうか?」と疑問を投げかけています。なお、出張は結局、3人でいくことになりそうとのことでした。
企業が異性同士の宿泊を伴う出張を制限することに法的な問題はないのでしょうか。一方で、ハラスメントを防止するため、企業にはどのような配慮義務が求められるのでしょうか。村松由紀子弁護士に聞きました。
●「異性同士だから禁止」は認められる?
──企業が「異性同士の宿泊を伴う出張は禁止」といったルールを設けることは法的に認められるのでしょうか。
出張に関することを明確に定めた法律はありませんので、労基法等の趣旨に反しない範囲で、会社は就業規則等でルールを定めることができます。
何も問題は生じないと考えている当事者からすれば心外でしょうが、異性同士が宿泊出張することにより、セクハラや不倫などのリスクが生じる可能性はあります。
出張のたびに、問題が生じる可能性があるかどうかを個別に判断することは、会社側にとっても負担になります。そこで、異性同士の宿泊出張を一律に禁止するというルールを定めることも許されると考えます。
●会社にはセクハラを防ぐ義務も
──企業には、こうしたトラブルを防ぐため、どのような配慮や対応が求められているのでしょうか。
企業には、勤務する従業員が安全に働けるように配慮するという「安全配慮義務」があります。また、企業には職場におけるセクハラを防止するため、雇用管理上必要な措置を講じることも法律で求められています。
そのため、会社が宿泊を伴う出張について一定のルールを設けること自体には、従業員間のトラブルを未然に防ぐという側面もあります。
ただ、補足的に申し上げると、男性社員が多い組織で、実質的に女性社員の出張機会が継続的に制約されている場合には、男女雇用機会均等法に抵触するリスクがあるので、運用上の配慮は必要だと思います。
今回のケースは、どちらか一方の出張を認めないというのではなく、両方の出張を認めたうえで、出張者を追加し3人で出張するという解決は、会社の運用にも問題はないと考えます。