ユニクロを運営するファーストリテイリングが10月から、週に4日働いて3日休む勤務制度を導入することが日本経済新聞で報じられた。転勤を伴わない約1万人の地域正社員が対象で、全従業員の5分の1にあたる。働き方の多様化に対応して、採用の増加につなげることが狙いだ。
報道によると、1日8時間の法定労働時間の適用を受けない「変形労働時間制」を活用し、勤務時間を1日10時間に延ばして、平均して「10時間×4日=週40時間」の労働ととらえることで、1週間あたりの給与水準は変わらないようにする。店が混む土日に出勤してもらい、平日に休んでもらうようにするという。
制度を活用すると、労働者は、10時間労働を4日間こなせば、3日間休めることになる。今回の制度導入には、どんなメリットやデメリットが想定されるのだろうか。労働問題に詳しい白川秀之弁護士に聞いた。
●土日出勤で忙しくなる?
「ユニクロの採用した制度は、『休日をまとめて取得したい』『出勤の回数を減らしたい』というニーズのある労働者にとっては、メリットがあると思います。
特に、出勤時間や退勤時間を1日分減らせるのは、メリットでしょう」
白川弁護士はこう指摘する。デメリットについてはどうだろうか。
「来客が多く、忙しい土曜日、日曜日、祝日に出勤することが増えることになりそうです。この制度を選択することで、労働密度は高まる可能性があります。労働者にとって、負担が大きくなる可能性があります。
また、子育て世代にとっては、保育園が休日に出勤するわけにはいきません。そうした人たちは、たとえ利用したくても、なかなかこの制度は使えないのではないでしょうか」
●有給休暇を取りやすい体制を
どのような対応が望ましいのだろうか。
「ユニクロは長時間労働が常態化していると指摘する声は少なくありませんが、今回の制度は労働時間の短縮を目的としているものではありません。
この制度に加えて、有給休暇を取得しやすくする体制を作ることができれば、働き過ぎを抑制することができると思います。1日8時間労働の場合よりも、1日10時間労働の労働者のほうが、有給休暇の効果は高いと言えます。
ただ、忙しい土日祝日での有休取得は、会社に『時季変更権』を行使されて変更される可能性があるでしょう」