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豪裁判所、「未送信メール」を遺書と認定・・・日本でも認められる?
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豪裁判所、「未送信メール」を遺書と認定・・・日本でも認められる?

オーストラリアの裁判所がこのほど、自殺した男性の「未送信メール」に法的な効力があると認める判決を下した。BBCやAFP通信など、海外メディアが報じている。

亡くなった男性は生前、(1)すべての財産を兄弟や甥にわたす、(2)遺灰を庭に埋めてほしい――という内容のメールを下書きしていた。ほかに、妻に対する不満などもつづっていた。死後、彼の携帯電話から下書きがみつかった。

裁判では、男性の妻側が「未送信メールは遺書として認められない」と主張したが、スーザン・ブラウン裁判官は「亡くなった男性の遺言の意思を示している」と判断したということだ。

今回はオーストラリアでの判決だったが、日本でも、メールが遺書として認められることはあるのだろうか。未送信メール(下書き)やLINEに書かれたものはどうだろうか。増田勝洋弁護士に聞いた。

●日本でメールは「遺言」と認められていないが・・・

「日本の民法では『遺言』といいます。遺言は、民法に定める方式にしたがわなければ無効とされています(民法960条)。たとえば、『自筆証書遺言』という本人の自筆による遺言は、作成者が全文、日付、氏名をみずから書いて、押印しなければ、有効な遺言と認められません(同法968条1項)。

この点、押印の概念がないメール方式による遺言は、民法上想定されていませんから、遺言として認められないことになります。

したがって、送信済、未送信にかかわらず、メールは遺言として認められません。また、同じ理由で、LINEによる遺言も、日本では民法が改正されない限り認められないことになります」

では、メールやLINEに書かれたものは何の影響もないのだろうか。

「ただし、遺産分割の協議や調停などの場で、亡くなった方(被相続人)が遺産の分配などについて、生前どのように考えていたかを認識するうえで、民法に定める方式に一致すると認められない遺言であっても、有力な証拠になることはあります。

未送信メールやLINEへの書き込みも、その作成された時期や状況、前後の書き込みの内容や文脈などによっては、被相続人の意思を推測する手段として、重要な役割をはたす場合はあると思います」

(弁護士ドットコムニュース)

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

プロフィール

増田 勝洋
増田 勝洋(ますだ かつひろ)弁護士 増田法律事務所
大阪弁護士会、司法委員会。著書:『事例にみる遺言の効力』(共著、執筆担当)

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