「女性に性暴力を振るった」などとX(旧Twitter)に投稿され、名誉を傷つけられたとして、トランスジェンダー支援団体の元共同代表、浅沼智也氏が9月24日、「女性の権利と尊厳を守る会」の共同代表をつとめる人物を相手取り、110万円の損害賠償と投稿の削除を求める訴訟を東京地裁に起こした。
●「女性に性暴力を振るった」など4つの投稿を問題視
訴状によると、被告は2025年9月23日から同年11月7日にかけて、X上で浅沼氏を名指しし、計4回にわたって以下の投稿をしたという。
なお、投稿に登場する「FtM」とは「Female to Male」の略で、女性として生まれ、心の性が男性であるトランスジェンダー男性を指す。
【投稿1】
実はそれは違うんです。なぜならトランス男性もまたミソジニーがひどく女性に暴力的加害的だという事実が明らかになったからです。浅沼智也というトランス男性は女性に性暴力を振るいました。(なぜか不起訴)わたしもデモをした時に冷やかしで来られ絡まれ危険な目に遭いました。普通の女性よりもガタイもいいですしね。ですのでトランスジョセイもトランス男性も女性スペースはアウトです。
【投稿2】
FtMはミソジニーきつく女性に暴行働く危険性があるので拒否させていただきます。浅沼智也のようなケースもありますし、わたしは一度加害されたことがあります。身体も腕力も男並みで加害欲強いので危険と感じました。
【投稿3】
トランス男性は男になりたい人ですから女性用下着売り場に来るかな?と思います。あの人たち女性に加害することしか考えてなさそうだし…浅沼智也氏しかり とにかく女性を脅かす存在の人はお断りしたい。甘えるなと言いたい。個人の問題を無関係な女性に押し付けるなと。自分で選んだ道なのだから腹を括れ。
【投稿4】
トランス男性に関しては浅沼智也氏などの例のように加害性が強く女性を脅かす存在なのでご遠慮ですね。オトコになりたくて筋肉増強やらテストステロンやらで攻撃性がありすぎます。わたし達は尊厳と安全を守るために生物学的女性(そして性自認女性のみ)だけの場所の確保を訴えています。トランス男性に会ったことありますか?
●暴行罪で起訴されるも無罪確定、その後も投稿
浅沼氏は2023年2月、LGBTへの理解を深めるための集会に参加した後、都内の同じホテルに宿泊した人物から性暴力を受けたと告発された。
その後、2024年3月に逮捕され、暴行罪で起訴されたが、青森地裁は2025年1月、「暴行を加えたと認めるには合理的な疑いが残る」などとして無罪判決を言い渡した。この判決は確定している。
今回、浅沼氏が問題視した4つの投稿は、いずれも無罪が確定した後に書き込まれたものだった。
浅沼氏は訴状で、投稿に記載されたような事実は存在せず、自身の社会的評価を低下させ、合理的な理由もなく著しく侮辱するものだとして、名誉毀損および名誉感情の侵害にあたると主張している。
●「個人への名誉毀損にとどまらず、属性への偏見を広げる」
浅沼氏は9月24日、東京・霞が関の司法記者クラブで開いた記者会見で、「今回の問題には、二つの側面があります」と述べ、次のように強調した。
「一つは、私個人について、事実と異なる内容が発信されたこと。もう一つは、私がFTMであるという属性と、女性への加害性や危険性を結びつける発信がおこなわれていることです。 女性の安全について議論することも必要です。しかし、特定の個人について事実と異なる情報を発信し、それをFTMという属性と結びつけ、女性への危険性と結びつけて語ることは、個人への名誉毀損にとどまらず、属性に対する偏見を広げることにつながりかねません」
また、逮捕時には報じたにもかかわらず、無罪判決が出た際には報じなかったメディアがあるとして、逮捕報道のあり方にも言及した。
「逮捕されたことと、有罪であることは同じではありません。無罪判決が確定した後にまで、事実と異なる内容を発信され続けることを私は看過できません」
●被告側のコメントは得られ次第追記
弁護士ドットコムニュースは被告にコメントを求めており、回答が届き次第、追記する。